2011 Fiscal Year Annual Research Report
表面で次元性制御した分子エピタキシャル接合光蓄電応答素子の構築
Project/Area Number |
22750059
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
金井塚 勝彦 山形大学, 理学部, 助教 (50457438)
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Keywords | 可視化 / 自己組織化 |
Research Abstract |
光を電子の流れに変換するデバイスには、光電変換素子や撮像素子が知られているが、その微細化・高効率化は化学のボトムアップにおいて重要な課題である。そこで本研究は表面で受光性をもつ二次元構造体と、電子ワイヤー性をもつ一次元構造体を配位により結合した異種構造の接合を利用して、フォトントラップが可能となるデバイス創出を目指す。本研究の新規性としては受光性の二次元錯体構造体上に一次元構造をもつ錯体カラムを構築し、構造間にトンネル障壁を持たせた極薄の絶縁層をはさむことにより大きなポテンシャル障壁を生じさせ、一次元カラム内に一時的に電荷をトラップさせ、光照射による光電流および吸収変化として光認識デバイスを作製することを最終的に目指す。 本研究では、種々の新規ルテニウムおよびオスミウム二核錯体を合成し、溶液中における基礎物性評価ならびにそれらの薄膜を電極上に作製し放射光施設Spring-8を使用した配向評価および電子輸送能の評価を行うことにより、高性能次世代分子デバイス構築の指針を得ることが重要である。 初年度は、(1)薄膜の構造評価ならびに異なる2種類の分子間での電子移動評価を溶液中で行った。また、(2)薄膜の構造評価に関してはデバイス展開において重要な知見が得られた。 今年度(2年目)は作製した複数の錯体ナノ薄膜の構造解析を理化学研究所(SPring-8)にて行った。特に重要なポイントとして、電極上に作製したナノスケールの錯体薄膜が、酸化還元に伴い、酸化数の異なる状態でどの程度の厚さ変化を伴うのかについて構造評価を行った。このような測定は、世界初の試みであり,小型電気化学装置をSPring-8内に持ち込み、X線照射と基板への電圧印加を連動させることで電圧印加に伴う分子の構造変化が起こることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表面で次元性制御した分子エピタキシャル接合光蓄電応答素子の構築において,化学結合を巧みに利用することで機能性分子を電極表面で次元性制御させ,かつエピタキシャル接合させることに成功した(理化学研究所でのX線測定結果より).最終年度では分子エピタキシャル電極を,光と電流の相互変換システムに応用できればプロジェクトの目標達成であり,計画通りに進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は電極上に作製したナノスケールの錯体薄膜の酸化還元に伴い、分子の構造変化が起こることの再現性を確認し,その成果を速報誌に投稿する.また,当初の目的であるヘテロ構造体薄膜の光蓄電応答性の実験系の構築を行い,その成果を論文としてまとめるとともに,国内外の学会等で成果発表を行う.
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