2010 Fiscal Year Annual Research Report
トランジェント-トラッピング法と質量分析検出による生体試料の高性能電気泳動分析
Project/Area Number |
22750070
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
末吉 健志 京都大学, 工学研究科, 助教 (70552660)
|
Keywords | キャピラリー電気泳動 / マイクロチップ電気泳動 / オンライン試料濃縮 / トランジェント-トラッピング / 質量分析 / 生体試料分析 / LVSEP法 / poly(ethylene glycol)修飾 |
Research Abstract |
研究実施計画に基づき,平成22年度はトランジェント-トラッピング(tr-trapping)法と質量分析検出による生体試料の高性能電気泳動分析の実現を目指した基礎的検討を行った。 生体試料のキャピラリー内壁への非特異的吸着による分析再現性および濃度感度の低下を防ぐため,フューズドシリカシリカキャピラリー内表面をpoly(vinylpyrrolidone)(PVP)を用いて修飾したところ,ペプチド類のピークのテーリングが抑制され,再現性の良い分析が可能となった。また,PVP修飾キャピラリーを用いてブラジキニンのtr-trapping-ミセル動電クロマトグラフィー(tr-trapping-MEKC)分析を行ったところ,通常のキャピラリーゾーン電気泳動(CZE)分析と比較して,ピーク強度で230倍,検出下限で320倍の高感度化が達成された。 続いて,アンジオテンシン類の高感度分析を試みた。PVP修飾キャピラリー内に試料溶液・界面活性剤ミセル溶液をそれぞれ600sおよび150s導入後,分離電圧を印加した際には,アンジオテンシン類の良好な分離と,一般的なMEKC分析と比較して380~700倍のピーク強度の向上が同時に達成された。以上の結果から,tr-trapping-MEKCによる生体試料の高感度分析の実現が示唆された。さらに,質量分析(MS)検出との接続を目指して,泳動液をリン酸塩緩衝液から揮発性のあるギ酸アンモニウム緩衝液に変更しても,tr-trapping-MEKC分析が可能であることが確認された。 また,その他の生体試料分析に関する技術として,large-volume sample stacking with electroosmotic pump(LVSEP)法の糖鎖電気泳動分析への適用による高感度化や,タンパク質の非特異的吸着を防ぐためにアミノ基を末端に有するpoly(ethylene glycol)をワンステップで内表面に修飾する方法の開発を行った。
|
Research Products
(18 results)