2011 Fiscal Year Annual Research Report
特異な酵素反応を利用した細胞内タンパク質機能制御システムの開発
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22750071
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
末田 慎二 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 准教授 (00325581)
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Keywords | タンパク質機能制御 / ビオチン化反応 / 遺伝子ノックアウト / 膜タンパク質 / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、ある古細菌由来のビオチン化酵素(BPL)がそのビオチン化された基質タンパク質(BCCP)と安定な複合体を形成するという性質を利用して、細胞内で標的タンパク質の機能を制御することが可能な分析システムを構築することを目的としている。前年度の検討により、細胞内でビオチン化反応を介して2つのタンパク質を会合させることに成功したので、本年度は実際にBPLと膜タンパク質の融合体を利用して反応を行なうことにより、BCCP部位を有する標的タンパク質を細胞膜の内側に固定化することを試みた。膜タンパク質としてはブラジキニンB2レセプター(B2R)を選び、そのC末端にBPLを連結した融合タンパク質(B2R-BPL)の動物細胞での発現系を構築した。一方で標的タンパク質としては、蛍光タンパク質を選び、BCCPを連結した融合タンパク質(BCCP-GFP)の動物細胞での発現系を構築した。まず両融合タンパク質の発現プラスミドで個別に細胞をトランスフェクションし、各融合タンパク質が細胞内で発現していることを、抗体を利用したウェスタンブロッティング及び共焦点レーザー顕微鏡を用いた蛍光イメージングにより確認した。その後、両融合タンパク質を同時に細胞に発現させ、BCCP-GFPの細胞内での局在について蛍光イメージングにより検討を行なった。その結果、BCCP-GFPは細胞膜の内側に局在化していることが確認でき、期待通りビオチン化反応を介して目的タンパク質を細胞膜の内側に固定できることがわかった。また、膜タンパク質としてB2Rの代わりに、PDGFレセプターの膜貫通ドメインを利用した系も構築し、同様に、標的タンパク質の細胞内での局在をビオチン化反応を介して制御することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜タンパク質とビオチン化酵素からなる融合タンパク質を動物細胞で発現させることに成功し、その融合タンパク質を利用して、期待通り標的タンパク質の細胞内での局在を制御することに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ビオチン化反応を介して標的タンパク質を細胞膜に固定化できることが確認できたので、次に標的タンパク質を安定に発現する細胞株を取得し、その細胞に対して膜タンパク質とBPLの融合タンパク質を発現させることにより、同様に標的タンパク質の固定化が可能であることを示す。その後、標的タンパク質として転写調節因子を選び、その核への移行をビオチン化反応を介して抑制し、その転写調節因子の機能を制御することを試みる。
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