Research Abstract |
本研究の目的は,DNA二重鎖を介した電子移動度の直接測定により単分子レベルで定量評価を行い,DNA配列中の塩基対の種類,塩基対ミスマッチの種類・数・位置依存的な電子移動度の変化といったDNA鎖の電気伝導性に関する基礎的な知見を得るとともに,これに基づきDNA鎖を介した電荷移動機構の理解とそれに基づく応用展開を目指すことである。本年度は,研究実施計画に基づき,DNA鎖の配列依存的なトンネル電流の流れやすさの定量評価をおこなった.22年度に構築した微小隙間電極によるDNA鎖の測定系を用いて(J.Apploohys., 108,064312,(2010)),マイクロRNA let7 familylyの共通配列の核酸塩基DNA/RNA鎖の電気計測し、その計測データを基に配列情報の再構成することに成功した(第72回応用物理学会,日本分析化学会第60回年会、Global Technology Congress, 日本化学会第92春季年会,ISIN2012による口頭・ポスター発表).この成果を他のRNA小分子の計測に展開するため,予備研究もおこなった(Bioconjugate Chem., (2011),22,2082-2092).また、配列決定を後天的修飾情報読み取りに広げる一環として、メチルシトシンやオキソグアニンなどの修飾塩基についても電気伝導度測定を行った(J. AmChem. Soc., 133,9124-9128,(2011)。これにより単分子計測によるエピジェネティック解析を広げることにつながると予想される。また核酸塩基識別能向上を目指した電気計測と光計測を同時に行うための計測系作成した(AIP Advance, 1,032102,(2011))。また、より長いDNA鎖への計測を行うためDNA鎖の三次構造を解消するなどの分子制御技術の開発の一環として、微小ポアをもつトンネル電流計測系の構築をおこなった(第59回応用物理学関連連合講演会の口頭発表)。これにより、分子制御と分子認識を同時に行う計測系へつながると期待される。
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