2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750082
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三野 孝 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40302533)
|
Keywords | 合成化学 / 有機化学 / 不斉合成 |
Research Abstract |
本年度は交付申請書に記載した研究課題[1]から[3]について研究を実施した。 [1]パラジウム触媒によるアリルエステルの不斉還元反応の最適化研究:パラジウム触媒を用いたギ酸をプロトン源とするアリルエステル類の不斉還元反応は、モノホフィンを配位子とする単座配位型パラジウム触媒が効果的であることが知られている。そこでインドール型不斉配位子-パラジウム触媒によるモデル基質として2-(1-naphthy1)-3-butene-2yl benzoateを用いた不斉還元反応について検討を行ったところ、トルエン中で反応が進行し、44% eeで目的とする生成物が得られることを明らかにした。 [2]鎖状三級アミンの光学活性体の合成:昨年度までアダマンチル基を有する鎖状三級アミンの光学活性体の合成を行ってきたが、今年度t-ブチル基を有する鎖状三級アミンの合成を行ったところ、炭素-窒素間に軸不斉を有することが明らかとなり、光学活性体の合成の指針を得ることができた。 [3]パラジウム触媒によるインドールのアリル位アリル化反応の検討:アダマンチル基を有する鎖状三級アミンを不斉配位子として用いたパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応について検討したところ、69% eeの不斉収率で目的物が得られることを見出した。またインドール型不斉配位子を用いた場合には80% eeの不斉収率で目的物が得られることを見出した。 以上のように本年度、研究課題[1]から[3]いずれにおいても新たな知見を得ることができた。次年度は、更なる不斉収率の向上を目指すとともに、新たな不斉反応の開発を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題[1]から[3]いずれにおいても新たな知見を得ることができた。また研究課題[2]については、その一部を学会発表することができ、研究課題[3]においては昨年度まで行ってきた内容について論文としてまとめることができた。さらに研究課題[1]から[3]いずれについても次年度における展開の指針が得られたことから、上記のような評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究課題[1]は不斉収率の向上が課題である。今後は反応基質の脱離基の影響や触媒量の検討などの面から不斉収率の向上を目指す。研究課題[2]においては、新しい配位子の光学活性体の合成を完成させ、不斉反応への展開を実施したい。研究課題[3]においては、モデル反応の不斉収率の向上を目指しながら、基質適応範囲の検討を推進する予定である。
|
Research Products
(10 results)