2010 Fiscal Year Annual Research Report
近接ルイス酸部位の協働作用を鍵とする新規複核金属錯体触媒の開発
Project/Area Number |
22750083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 慎庫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (90508194)
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Keywords | 複核金属錯体 / 遷移金属 / 触媒作用 / 重合反応 |
Research Abstract |
本研究は,近接ルイス酸機能を有する新規複核金属錯体を創製することで,既存の単核触媒系では達成できない高効率かつ高選択的な炭素-炭素結合形成反応を実現することを目的としている.二種類の金属にルイス酸機能と酸化還元触媒機能の独立した役割を持たせることが特色である,平成22年度は,研究計画の屋台骨となる新規複核金属錯体の合成を行った.すなわち,salan,salalenといった[ONNO]多座配位子にホスフィン部位を一つ取りつけた配位子salen-phosおよびsalalen-phos,ホスフィン部位を二つ取りつけた配位子salen-diphosおよびsalalen-diphosを合成した.ルイス酸機能を担う金属としてチタンやアルミニウムを,酸化還元触媒機能を担う金属としてはパラジウム・金を有する各種複核金属錯体の合成に成功した.構造は各種NMR解析およびX線結晶構造解析により明らかにした.その結果,二種類の金属間距離は約5Aとなり協働的に働くのに最適な距離であることが分かった.このうち,得られたチタン/パラジウム錯体をエチレン重合反応に応用して触媒活性を有することを確認した.複核金属錯体を用いた場合は,対応する単核チタン錯体および単核パラジウム錯体を用いた場合よりも,触媒活性・得られるポリエチレンの分子量ともに大きく向上し,複核錯体の協働作用を確認した.今後は反応機構の解明を行っていく予定である.
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