2011 Fiscal Year Annual Research Report
近接ルイス酸部位の協働作用を鍵とする新規複核金属錯体触媒の開発
Project/Area Number |
22750083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 慎庫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (90508194)
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Keywords | 複核金属錯体 / 遷移金属 / 触媒作用 / ロジウム / ヒドロホルミル化反応 |
Research Abstract |
本研究は,近接ルイス酸機能を有する新規複核金属錯体を創製することで,既存の単核触媒系では達成できない高効率かつ高選択的な炭素-炭素結合形成反応を実現することを目的としている.二種類の金属にルイス酸機能と酸化還元触媒機能の独立した役割を持たせることが特色である.平成23年度は,(1)多様な複核金属錯体の迅速合成,および、(2)触媒反応への応用を検討した. (1)複核金属錯体の合成:平成22年度に引き続き,salalenにボスフィン部位を一つ取りつけた配位子salaIen-phosおよびsalenにボスフィン部位を二つ取りつけた配位子salen長diphosを有する様々な新規複核金属錯体を合成した.これにより前周期金属/後周期金属型複核金属錯体の簡便かつ汎用的な合成法の開発に成功したといえる. (2)触媒反応への応用:上記検討で得られたチタン/ロジウム錯体を用いて,アルキンやアルケンあるいは一酸化炭素などの不飽和分子の環化反応など,中心金属の酸化還元を伴い,かつルイス酸部位による官能基活性化が鍵となるような多成分連結型反応への応用を検討した.また,官能基の捕捉により特異な位置選択性を発現する反応の実現を狙った。その結果,配向基としてカルポニル基やシアノ基などの極性官能基を有するアルケンを用いた場合に,ヒドロホルミル化が分岐選択的に進行することを見出した.官能基の分子間配位によりヒドロホルミル化の位置選択性が制御できるという可能性を示す重要な知見である.
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