2010 Fiscal Year Annual Research Report
配位性官能基の導入による高機能性不斉合成触媒および試薬の開発
Project/Area Number |
22750089
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 修一 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (20335087)
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Keywords | 有機合成化学 / 生理活性物質 / 環境調和型反応 / 不斉触媒 |
Research Abstract |
光学活性化合物の効率的合成法の確立は、21世紀のライフサイエンスを向上させる点から最重要課題である。しかしながら,現況の不斉合成技術において高効率的といえる技術は限られている。そこで,不斉触媒にこれまでに申請者が開発してきたヘテロアリールスルホニル基を組み込むことにより,多機能性不斉触媒の開発を検討した。実際に、ヘテロアリールスルホニル基を有する不斉有機触媒を設計・合成し、これまでに高い不斉収率の得られる報告例がないトリハロメチルケトン類へのアルドール反応を検討した所、高収率・高エナンチオ選択的に反応が進行することが明らかとなった。また、この反応の反応機構を分子軌道計算等を用いて詳細に調査したところ、ヘテロアレーンスルホニル基と分子内のアミド基が水素結合して、高度な不斉反応場を構築していることが明らかとなった。また、環境調和型不斉合成法の開発を目指し、開発した不斉有機触媒をモンモリロナイトに担持した固体触媒の開発を行ったところ、簡便な回収操作で4回までのリサイクルが可能となることが明らかとなった。また、実験計画に記述した4置換不斉炭素を有する光学活性アミノリン酸類の世界で初めての触媒的高エナンチオ選択的合成にも成功した。このように、研究実施計画にあった環境調和型合成反応の開発においても、一定レベルの成果が上げられたといえる。
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