2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規二官能性キラル相間移動触媒の創製と環境調和型不斉合成反応への応用
Project/Area Number |
22750093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 誠司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60459865)
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Keywords | 不斉合成 / 有機触媒 / 相間移動触媒 / 環境調和型反応 / 触媒開発 / 原子効率 / アミノ化反応 / フッ素化反応 |
Research Abstract |
ビナフチル骨格を有する第四級アンモニウム塩型キラル相間移動触媒に、基質認識部位として水酸基を導入した新規二官能性キラル相間移動触媒を新たに創成し、これを触媒とした環境調和型不斉合成反応の開発を行った。通常、第四級アンモニウム塩を相間移動触媒とした反応では、反応促進のために外部塩基の添加が必須であると考えられてきた。ところが、本研究過程においてある種の反応では塩基を一切添加せずとも非常に効率的に反応が進行することを見いだした。本反応系において、新規二官能性キラル相間移動触媒が非常に有効な触媒として機能することを見いだし、これを用いたニトロオレフィンの不斉アミノ化反応について検討したところ、触媒量わずか0.05mol%で、反応は円滑に進行し高い不斉収率で目的生成物を与えることを見いだした。本反応は、塩基を一切用いず、極少量の有機溶媒存在下、水を主とする溶媒系で実施でき、原子効率の高い環境調和型の効率的有機合成反応を開発することが出来た。さらに、本反応における遷移状態についての考察を行うべく、触媒のX線結晶構造解析を行った。その結果、本研究で開発した二官能性触媒デザインが反応を効率的に行う上で非常に重要であることが示唆され、触媒デザインの新たな可能性を示すことが出来た。 また、本研究で開発した二官能性キラル相間移動触媒を用い、生理活性化合物の合成において有用なツールとなりうる不斉フッ素化反応の開発を行った。本触媒を用いることで、高立体選択的なβ-ケトエステルの不斉フッ素化反応を実現した。
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Research Products
(5 results)