2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規二官能性キラル相間移動触媒の創製と環境調和型不斉合成反応への応用
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22750093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 誠司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60459865)
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Keywords | 不斉合成 / 有機触媒 / 相間移動触媒 / 環境調和型反応 / 触媒開発 / 原子効率 / 共役付加反応 / アミノ酸 |
Research Abstract |
昨年度開発した二官能性キラル相間移動触媒を利用し、医薬品開発などにおける重要な中間体であるα,α-二置換α-アミノ酸類の効率的合成法の開発を行った。最近見出した塩基を用いない中性条件下で進行する環境調和型反応系を利用し、α-アミノ酸等価体としてのα-ニトロエステルのマレイミドへの不斉共役付加反応について検討した。二官能性キラル相間移動触媒の構造を精密に最適化することで、高立体選択的に生成物を与える反応系を構築し、様々なα,α-二置換α-アミノ酸誘導体を立体選択的に得る方法を確立した。ここで得られた生成物は、生理活性天然物に見られる構造と類似の構造を有しており、生理活性化合物探索における有用な手法が確立できたといえる。また、反応中間体のX線結晶構造解析により、二官能性キラル相間移動触媒の機能を明らかにし、更なる展開の足がかりとなる有用な情報を得る事が出来た。ここで得た知見を活かし、次にα-ニトロエステルとホルムアルデヒドの直截的アルドール反応による、α-アルキルセリン誘導体合成法の開発に着手した。塩基を用いる従来の相間移動反応系では、塩基の作用によるレトロアルドール反応が問題となり、相間移動条件下で高エナンチオ選択的直截的アルドール反応を達成する事は困難であると考えられてきた。そこで、塩基を用いない中性条件下での反応系を適用する事でこれまでの問題を克服し、高エナンチオ選択的アルドール反応が実現できると考え、本反応開発に取り組んだ。ここでも、二官能性キラル相間移動触媒が有効に機能し、様々なα-アルキルセリン誘導体を高エナンチオ選択的に得る方法を確立することが出来た。本反応は、わずか0.1mol%の二官能性キラル相間移動触媒存在下、取り扱いの容易な市販のホルムアルデヒド水溶液を用い反応を行うことが可能であり、環境調和型の理想的な反応系を構築することが出来た。
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