2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属中心自体が立体中心となる金属錯体の立体選択的合成とその不斉触媒作用
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22750095
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 和弘 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40512182)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 合成化学 / 不斉反応 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、金属中心自体が立体中心となる金属錯体、いわゆる“chiral-at-metal complex”を立体選択的に合成し、これを触媒として用いた不斉反応を開発することである。 平成23年度の研究によって、2つのフェノール部をイミン部で繋げた構造を有するONO直線型三座配位子をもつ新規のタンタル錯体がオレフィンの不斉エポキシ化を高エナンチオ選択的に触媒することを見出していた。このエポキシ化は、安価で環境調和性の高い過酸化水素水を酸化剤として用いることができるという利点を有している。そこで本年度の研究では、この新規タンタル錯体を用いたオレフィンの不斉エポキシ化について、さらなる改良の検討を行った。まず、従来の配位子の合成法には収率や立体選択性に問題があったため、合成法の改良を試みた。合成ルートおよび用いる試薬や反応条件を種々検討した結果、従来法に比べて倍以上の総収率で目的配位子を得る方法を見出し、触媒の供給に関する問題を解決した。また、様々なオレフィン基質を用いてエポキシ化を行うことで、本不斉エポキシ化法の基質適用範囲やエナンチオ選択性発現の傾向についての知見を得ることができた。トランス-β-メチルスチレンの不斉エポキシ化反応においては、97%eeという非常に高いエナンチオ選択性が得られ、通常困難とされている脂肪族オレフィンの不斉エポキシ化においても最高で90%ee程度の高いエナンチオ選択性が得られた。これにより高エナンチオ選択的な不斉エポキシ化法を開発することができた。なお、研究代表者の知る限り、本手法は光学活性なタンタル錯体を触媒として用いた単純オレフィンの高エナンチオ選択的不斉エポキシ化の初の例である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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