2011 Fiscal Year Annual Research Report
不斉鈴木‐宮浦反応を高効率に実現するπ系不斉分子触媒の開発研究
Project/Area Number |
22750097
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
岩澤 哲郎 龍谷大学, 理工学部, 准教授 (80452655)
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Keywords | 不斉クロスカップリング / 軸不斉ビアリール / 不斉触媒 / 不斉ホスホナイト化合物 |
Research Abstract |
本研究では、不斉鈴木-宮浦クロスカップリング反応を過去の報告例よりも短い反応時間と高い触媒回転数を持って達成することを目的としている。この課題の意義は、軸不斉を持つ光学活性ビアリールが合成化学、医薬品化学、高分子化学、超分子化学等々の材料化学の各分野において、極めて重要な価値を持つことが既に知られているからである。それにもかかわらず、軸不斉ビアリールを安価で大量、そして安全かつ高品質に供給する合成技術が未だ確立されていない。単に学術レベルで高い不斉収率が達成されているだけである。そのため、本研究課題が仮に上手くいった場合、物質供給の観点から軸不斉ビアリールを安定に生産することが可能となり、これら諸分野に対する波及効果は絶大である。本申請研究では、この課題を達成するために、前年度までにπ系分子構造と単座不斉分子構造を併せ持った不斉ホスホナイト配位子の新規合成に成功し、ある種の基質の反応系において、過去の反応例と比較して触媒量の点でおよそ100倍の効率化、反応時間の点でおよそ6から12倍の効率化を達成することができた。本年度は、前年度に開発した新規配位子を用いた基質の一般性に関する調査評価と、さらなる配位子の新規開発に取り組んだ。オルト2置換型の芳香族塩化物とオルト2置換型のメシチルボロン酸やキシリルボロン酸及びオルト1置換型のクメニルボロン酸とのクロスカップリング反応について反応条件を種々検討したが、現在のところ上手くいっていない。また、分子内不斉クロスカップリング反応についても実験を行い、抗癌活性剤の一段階合成を試みたが、現在のところ上手くいっていない。さらに、ポリフェニレン骨格由来の新規配位子を脱却してアンスラセン骨格由来の、広い反応場型新規配位子の開発に取り組んでいる。新規ホスフィン配位子の安定性構築が鍵であることを見出している。
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