2012 Fiscal Year Annual Research Report
シリコーン骨格ポリロタキサンにより環動性を有する有機-無機ハイブリッド材料の創製
Project/Area Number |
22750099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 和明 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任助教 (80570069)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 有機無機ハイブリッド / ポリロタキサン / 環動性 / ミセル / シリコーン / ダイナミクス / スライディング転移 / スライディング弾性 |
Research Abstract |
有機-無機ハイブリッド環動高分子材料は、その前駆体であるポリロタキサンに由来する環動性によって、有機成分と無機成分の相対的な位置が変化しうる革新的な材料と期待されるが、粘弾性をはじめとする様々な物性を支配すると考えられる各成分の相対位置変化のダイナミクスは、どの環動材料においても未だ観測されていなかった。23年度の研究を通して、その相対運動のダイナミクスを反映していると考えられる粘弾性緩和が、新規環動材料において初めて観測された。 本年度は、ポリエチレングリコールやポリブタジエンなどの様々な骨格を有する環動材料の系統的な粘弾性測定を行うことで、この緩和現象が環動材料特有の架橋構造に由来するものであることを見出した。観測される平坦領域の弾性率と材料の密度から架橋点間の分子量を求めたところ、高周波側の平坦部がゴム状平坦領域であることがわかった。また、架橋点間分子量の三乗が緩和時間に比例することが明らかとなった。環動材料では、高分子鎖が分子全体ではなく架橋点間距離程度の拡散をすることで、鎖の配向異方性が解消していること考えられるが、鎖の配向が等方的になった後も一定の平衡弾性率を示す。これらのことから、従来の架橋材料と同様に鎖のエントロピーに由来するゴム状態と、環状成分が鎖上で取りうる配置のエントロピーに由来する弾性を示す平衡状態の、二つの状態が環動材料には存在することが示唆された。 こうして環動高分子材料の粘弾性緩和の詳細を調べることで、各成分間の相対運動のダイナミクスを初めて捉えることに成功するとともに、平衡状態での弾性が既存の架橋材料と根本的に異なることが示唆され、環状成分由来のエントロピー弾性という新しい概念が生まれた。これらの新規物性と新概念は、有機-無機ハイブリッド環動材料に限らず、環動高分子材料全体における革新的な材料設計指針を提供するものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)