2010 Fiscal Year Annual Research Report
汎用エラストマーの新架橋法:インターロック架橋法の開発
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22750101
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小山 靖人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (10456262)
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Keywords | ロタキサン / エラストマー / ニトリルオキシド / アンビデント反応剤 / ポリロタキサンネットワーク / ロタキサン架橋剤 |
Research Abstract |
汎用エラストマー上に精密に合成された複雑な分子素子(生体分子や、高分子、ロタキサン等の超分子)を自在に集積できるような「アンビデント反応剤」の合成と、それを用いる「インターロック架橋法」の開発を目的に研究を推進し、得られた素子・素材の特性評価を行った。その結果、(1)速度論的に安定化したニトリルオキシドを持つ分子群の簡便な合成法を開発し、特に(2)安定ニトリルオキシドと電子吸引性官能基(エポキシド、オキセタン、エステル等)を併せ持つアンビデント反応剤を各種合成した。また(3)このアンビデント反応剤がフラグメント間のケミカルライゲーションに有用であることをポリマーの修飾・架橋反応を通して実証した。すなわち、アンビデント反応剤のニトリルオキシド部位は身の回りにある様々な不飽和結合含有ポリマー(天然ゴムなどの各種エラストマー、合成繊維、樹脂等)の比較的に不活性な内部オレフィンやニトリル基と無触媒且つ無溶媒下で迅速に反応することを明らかとし、この付加反応によって導入された電子吸引性置換基を足がかりとすることで、多様な求核性置換基をポリマー上へ集積することが可能となった。さらに得られたポリマーの特性についても詳細に検討した。 本方法は従来までのライゲーションと比較すると、(i)大量合成が可能であり、(ii)安全で、(iii)汎用性が高く、(iv)無触媒、(v)無溶媒下でも進行するという利点があるため、今後、成形加工した高分子素材を分子集積の土台とするような新しい高分子化学が展開できるものと期待される。
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