2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機ホウ素色素を基盤とした高効率発光材料の創製と機能発現
Project/Area Number |
22750106
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
永井 篤志 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (80446012)
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Keywords | 高分子合成 / 共役系高分子 / 近赤外発光材料 / 高分子センサー |
Research Abstract |
当該研究では「有機ホウ素色素を基盤とした高効率発光材料の開発とその機能を発現する」という学術的かつ独創的な点から、研究目的は、設計された有機ホウ素錯体を高分子や無機化合物への組み込みとその機能である。 当該年度に実施した研究は、安定な有機ホウ素錯体であるボロンキノレート類とボロンジピロメテン(BODIPY)類を用いた材料設計である。 1.BODIPY誘導体を主鎖に有するポリマーの合成とその発光制御 この研究は、近赤外発光性を有するBODIPYを合成し、その高分子化による近赤外発光材料の開発である。研究実施者は、近赤外から赤色発光性のBODIPY誘導体の合成に成功し、その高分子化による近赤外領域での強い発光を示し、安定であることを見出した。また、シリカマトリックスに導入することで固体状態での赤色・近赤外発光にも成功している。この成果は学術論文と学会発表にて報告している。さらに、消光剤として知られる金ナノ微粒子にBODIPYを末端に有するポリマーを用いて安定化することにより体温近くの温度で発光のスイッチングにも成功している。この結果は、バイオプローブの応用に有用である。 2.有機ホウ素キノレート類を主鎖に有する共役系高分子の合成とその応用 この研究は、有機ELデバイス用の発光材料と電子輸送材料の開発を目的としている。研究実施者は、ホウ素キノレートと電子輸送性のフルオレン分子を交互に繋いだ新しい発光材料の創製に成功した。 また得られたポリマーは、高い発光特性に加え大きな電子輸送能を有し、次世代の有機ELの電子輸送材料に期待できる。この成果に関して、学術論文と学会発表にて報告した。 当該年度の研究は、研究実施計画以上に良好な成果が得られた。
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