2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 一生 京都大学, 工学研究科, 助教 (90435660)
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Keywords | MRI / がん診断 / POSS / 分子プローブ / デンドリマー / ナノ微粒子 |
Research Abstract |
本研究では、核磁気共鳴画像法(MRI)において、生体の機能を定量的に評価することが可能な分子プローブの開発を行うことを目的としている。高フッ素化デンドリマーのフッ素(19F)NMRの信号を生体反応により応答させ、信号の時間変化分に定量性を持たせる手法を確立を目指す。具体的な応用として、腫瘍マーカーとなる酵素の活性量を調べることで、19F MRIによる癌の悪性度診断への応用を目指す。その目的のために、本年度は、ナノ微粒子型プローブのリンカー部位を変えることで、ターゲット認識の多様化を行った。まず、リン酸ケージドフルオレセインをリンカー部位に有するプローブを作成した。このプローブは、がん領域で特に活性であることが知られているアルカリリン酸加水分解酵素の働きにより、同時に蛍光と19F NMRのシグナル物質が放出される。実際反応を行ったところ、この2つの測定法で酵素活性を検出することができた。さらに、検量線を作成しておき、そこにフィッティングを行うことで、2つの測定手法で定量することができた。これは、片方の信号が得られた場合、もう片方の信号で校正することが可能であることを意味する。次に、癌の還元環境を司るグルタチオン還元酵素の基質となるプローブの作成を行った。ジスルフィド結合をリンカーに含むプローブを作成し、同様の条件で反応を行ったところ、定量的にグルタチオン還元酵素の活性を検出することができた。これらの結果は、プローブの作成技術とin vitroでの作動原理の確認という初年度の目標を満たすものである。
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