2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 一生 京都大学, 工学研究科, 助教 (90435660)
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Keywords | MRI / 癌診断 / POSS / 分子プローブ / デンドリマー / ナノ微粒子 |
Research Abstract |
本研究では、核磁気共鳴画像法(MRI)において、生体の機能を定量的に評価することが可能な分子プローブの開発を行うことを目的としている。高フッ素化デンドリマーのフッ素(19F)NMRの信号を生体反応により応答させ、信号の時間変化分に定量性を持たせる手法を確立を目指す。具体的な応用として、腫瘍マーカーとなる酵素の活性量を調べることで、19F MRIによる癌の悪性度診断への応用を目指す。その目的達成のために、癌の還元環境を司るグルタチオン還元酵素の基質となるプローブの作成を行った。まず、ジスルフィド結合をリンカーに含むプローブを作成した。このプローブは通常NMR信号を発しないが、ジスルフィド結合を分解する物質が共存する場合、明瞭な応答を示した。実際グルタチオン還元酵素を用いて反応を行ったところ、NMRの信号強度変化より酵素活性を検出することができた。さらに、検量線を作成しておき、そこにフィッティングを行うことで、濃度未知の試料中の酵素量を定量することができた。これらの結果は、プローブの作成技術と作動原理の確認という目標を満たすものである。次に、生体内でシグナル伝達物質として働くHNOの検出を行った。高フッ素化デンドリマーに常磁性錯体を結合させておき、通常状態でのNMR信号を低下させておく。錯体がHNOの結合に伴い磁性を変化させることを利用し、NMR信号を増強させる機構を考案した。実際反応を行ってみると、高感度でHNOの検出が可能であり、特に競合する物質に対して高い選択性を有することが明らかとなった。これらの結果は本研究目標を十二分に満たすものである。
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