2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波を用いた環境低負荷型バイオマテリアルの創製
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22750112
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
竹岡 裕子 上智大学, 理工学部, 准教授 (50338430)
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Keywords | 生分解性高分子 / 水酸アパタイト / 有機-無機ハイブリッド / 人工骨 / マイクロ波 / バイオマテリアル / 多孔質材料 / DNA |
Research Abstract |
生体骨の主成分である水酸アパタイト(HAp)を利用した代替骨の開発が盛んに行われている。しかし、HApの機械的特性に着目すると、圧縮強度、曲げ強度は生体骨と比べて、数倍大きく、破壊靱性値は低く、ヤング率は骨よりはるかに大きいなど、生体骨と比べて強度がかなり異なる。生体骨と比べて、著しく強度が異なると、正常骨を破壊してしまうため、生体代替材料の強度としては、生体骨と同等の力学的強度が望ましい。本研究では、HAp多孔体を用いて、その多孔内でIn-situ重合により生分解性高分子を合成することにより、優れた力学的強度と生体適合性を有するバイオマテリアルを作製することを目的としている。特に、残存触媒の生体への影響が無視できる酵素触媒を用い、迅速かつ高収率での重合が期待されるマイクロ波を重合の際の加熱源として利用することにより、生分解性高分子/HAp複合体を作製した。 平成23年度は、ポリ乳酸、ポリε-カプロラクトン、ポリω-ペンタデカラクトン(PLLA、PGA、PCL、PDDL)を多孔質HApの気孔中で重合し、色々な部位に使用可能な人工骨材料が高分子の種類、また共重合組成を変えることによって得られることを明らかにした。さらに、複合材料を体内に埋入した後、生分解性高分子が分解していく過程で細胞の侵入が可能になるように、細胞のサイズに見合った気孔を有する多孔性のバイオセラミックスの作製を検討した。繊維状HApとDNAを混合焼成することで、ポアサイズを制御した多孔性バイオセラミックスが得られた。DNAがリン酸源としても働くため、HApとβ-TCPを含む二相性のバイオセラミックスとなり、DNAの量を制御することによって、二相比も自在に変えられることが明らかとなった。HApとβ-TCPは強度や生体吸収性が異なるため、これを用いて種々の生分解性高分子との複合化を図ることにより、望みの機械的特性、生分解特性を有するテーラーメイド材料の開発が可能となることが分かった。
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