2010 Fiscal Year Annual Research Report
電荷補償型窒素置換による太陽光水素製造のための光触媒開発
Project/Area Number |
22750116
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 英樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (60385515)
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Keywords | 電荷補償 / 窒素置換 / 水素 / 光触媒 / 可視光応答性 / 固溶体 |
Research Abstract |
可視光応答性を有する水分解光触媒を構築することを目的として,電荷補償型窒素置換光触媒の合成および特性評価を行った。具体的には,チタン酸ストロンチウムへのランタンイオンと窒化物イオンの共ドープ体,およびストロンチウムタンタル酸窒化物もしくはランタンタンタル酸窒化物とタンタル酸ナトリウムとの固溶体の合成を行った。共ドーピングしたチタン酸ストロンチウムは,窒化物イオンのドープにより可視光吸収が発現していることが確認されたが,光触媒活性を示さなかった。一方,タンタル酸ナトリウムと酸窒化物の固溶体の系では,固溶体の吸収波長が,固溶体の組成の変化に応じて変化することを確認した。このことから,酸窒化物固溶体を形成することで窒化度を制御し,光触媒の価電子帯ポテンシャルを制御可能であることが明らかとなった。ストロンチウムタンタル酸窒化物およびランタンタンタル酸窒化物はともに,銀イオンを酸化剤に用いた酸素生成反応に対して不活性であるのに対して,本研究で合成した酸窒化物固溶体は,酸素生成反応に対しても可視光照射下で光触媒活性を示した。酸窒化物固溶体での酸素生成活性の発現は,固溶体形成により価電子帯ポテンシャルが変化したためであると考えられる。このように,本研究によって固溶体形成による窒化度制御が,酸窒化物光触媒の光触媒特性制御のための有効な手段であることを明らかにした。しかしながら,タンタル酸ナトリウムを元にした固溶体では,熱処理の際にナトリウムの揮発によりナトリウム欠損が生じるためタンタル窒化物相が不純物として形成されていた。そのため,酸窒化物固溶体光触媒の高効率化のためには,熱処理条件の最適化が必要であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)