2011 Fiscal Year Annual Research Report
電荷補償型窒素置換による太陽光水素製造のための光触媒開発
Project/Area Number |
22750116
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 英樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (60385515)
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Keywords | 酸窒化物 / 固溶体 / 光触媒 / 可視光応答性 / 水素生成 |
Research Abstract |
昨年度開発したタンタル酸ナトリウムとランタンタンタル酸窒化物の固溶体光触媒の高活性化を目指して,合成条件の最適化を行った。前駆体をアンモニア中で窒化する際の温度について検討した。窒化処理時間を15時間とした場合,1073から1173Kでは,酸化物相と酸窒化物固溶体の混合物が形成され,単一相で宙溶体を得ることが困難であることが明らかとなった。1273Kでは固溶体が形成されるものの,ナトリウムの揮発が顕著に進行するため,不純物相であるTa_3N_5が形成された。そこで,窒化温度を1273Kとして処理時間の検討を行った。その結果,処理時間を短くすることでTa_3N_5を含まない酸窒化物固溶体を得ることに成功した。そして,固溶体におけるタンタル酸ナトリウムの割合が多い程,最適な処理時間は短くなる傾向があることが明らかとなった。窒化処理条件を最適化することで,光触媒活性が若干向上した。光触媒活性が顕著に向上しなかったのは,窒化処理時間が短くなることで酸窒化物固溶体の結晶性が低下したことによると推測された。タンタル酸ナトリウムとランタンタンタル酸窒化物の固溶体では,ナトリウムの揮発のため,結晶性の高い単一相を合成することが難しいことが示唆された。そこで,アルカリ金属,を含まないペロブスカイト酸化物であるチタン酸ストロンチウムとランタンタンタル酸窒化物の固溶体の合成を行った。この固溶体は,揮発性の構成元素を含まないために,不純物を含まない試料を容易に得ることが可能であった。この固溶体では,組成を変化させても吸収波長にはほとんど変化が見られなかった。これは,固溶体におけるチタン酸ストロンチウムの割合を大きくすると,窒化度が低くなり価電子帯ポテンシャルが低下する反面,チタンイオンの寄与により伝導帯のポテンシャルもまた低下するためである。そして,この固溶体が,犠牲試薬存在下において水素生成能と酸素生成能の両方を有する可視光応答性の光触媒であることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)