2010 Fiscal Year Annual Research Report
構造-機能相関に基づいた新規フェナレニル系分子性導体の開発
Project/Area Number |
22750129
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 泰一 大阪大学, 理学研究科, 助教 (50506392)
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Keywords | 分子性導体 / π共役系 / 構造有機化学 / 有機ラジカル / スピンラダー |
Research Abstract |
本研究課題は、分子性導体において従来にない新たな分子配列の構築を狙い、その構造的特徴から新たな機能を生み出すこと(構造-機能相関の発現)を目的としている。特に「らせん」配列から電磁気変換機能、「はしご」配列から超伝導の発現を目指している。また、これらの分子配列を達成するために、分子間相互作用部位としてフェナレニルを複数個含む化合物を新たに設計し、合成及び結晶化を行っている。現在までの主な成果を以下に挙げる。 1、「らせん」配列の発現を狙ったアセチレン架橋型フェナレニル二量体の合成を達成した。電気化学的測定、分光学的測定によって、酸化還元挙動及びスピン電子状態を明らかにした。現在、化学的酸化を用いた電荷移動錯体の調製、さらには結晶化を試みている。今後、電解法についても試す予定である。 2、「はしご」配列の発現を狙ったas-インダセン架橋型フェナレニル二量体の合成に着手した。これまでに、アセナフテンを出発物質としてウルマンカップリング、続くマクマリーカップリングによって目的分子の基本骨格の合成まで完了している。本年度中には合成を完了し、基本物性を評価する予定である。 以上の成果を受けて、次年度は特に結晶化及び物性測定に注力する。X線結晶構造解析から得られる分子構造及びその配列構造と、伝導度、磁化率測定等から得られる固体電子物性を総合的に考察する予定である。最終的には、両系の分子構造-配列構造-固体電子物性の相関について解明する。
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