2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750136
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
磯崎 勝弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 高分子材料ユニット, NIMSポスドク研究員 (30455274)
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Keywords | ペプチド / DNA / 自己組織化 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究では、革新的機能を有する材料開発を目的として、機能性分子や高分子、金属錯体、金属ナノ粒子などをテーラーメイドに集積・ハイブリッド化する自己組織化手法の開発に取り組む。研究の鍵となるのは、研究代表者の開発したペプチドブロック分子という両末端に核酸塩基構造を有する環状β-シートペプチドである。ペプチドブロックは(1)核酸塩基の相補的水素結合に基づく分子認識、およびβ-シート構造を形成するペプチド鎖長のマッチングという単純なプログラムに基づいて分子設計を行うことで、階層的な自己組織化により複数種類のペプチドブロックを任意の配列に集積化することができる。また、(2)ペプチドブロックの側鎖官能基を利用して金属や機能性分子を配列化することで、固体基板上に1次元配列化異種金属ワイヤーなどの多様な2次元あるいは3次元ナノ構造体を構築することができる。初年度の基礎的知見を元に、今年度はチミン、ジアミノピリジン、シトシン、およびグアニン骨格を有する塩基対形成アミノ酸を合成するとともに、これらを両末端に組み込んだペプチドブロック分子の合成を行った。合成したペプチドブロックはいずれも溶液中における2次元NMRから安定なβ-シート構造が誘起されていることが明らかとなるとともに、期待通りに核酸塩基部位の相補的水素結合に基づいて塩基対を形成する組み合わせでは1:1会合体を形成することが確認された。ペプチドブロックは高濃度溶液条件下において、核酸塩基部位の相補的水素結合およびペプチド鎖同士のアンチパラレルβ-シート水素結合に基づいて相補的な自己組織体を形成することを見出した。 これらの研究のための基礎的研究として行った、側鎖を金属錯体で修飾したアミノ酸誘導体の自己集合挙動についてChemical Communications誌およびChemistry Letters誌に研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の目標としていた研究成果についてペプチドブロック分子の溶液中における挙動についておおよそ期待通りの成果が得られつつあるが、総括を行うためにはまだ結果が不十分であり、さらなる分子の合成および動的挙動に関する詳細な研究が必要であると考えられる。従って、研究はやや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針変換はないが、さらなる研究速度の加速が必要であると考えている。
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Research Products
(11 results)