2010 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳中に変化するタンパク質粘弾性のリアルタイム測定
Project/Area Number |
22750147
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 俊太郎 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特任助教 (40456257)
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Keywords | 翻訳 / リボソーム / フォールディング / 水晶発振子 / リアルタイムモニタリング / 粘弾性 |
Research Abstract |
当初、水晶発振子(QCM)の振動現象を高精度に解析することのできる装置を開発する予定であったが、当研究室で既に進行していた装置開発が順調に進んでいたことから、遺伝子レベルの材料作製に従事した。まず、翻訳速度を変化させる因子の一つとしてtRNAに着目し、大腸菌の全48種類のtRNAをコードするDNA配列を、K-12株のゲノムDNAからそれぞれ全てPCR法により各遺伝子断片を増幅した。これを恒常的に転写量の多いlppプロモーターおよび汎用性の高いrrnCターミネータ配列間に挿入し、ベクターを構築することで、各tRNA過剰発現ベクターを作製した。これを用いて大腸菌XL1-Blueを形質転換し、形質転換体を培養することで、目的tRNAを菌体内に過剰発現させた。過剰発現させたtRNAはフェノール処理により菌体内から抽出し、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。続いて、大腸菌抽出液を用いた無細胞タンパク質合成系を調製した。RNaseの少ないBL21(DE3)Starを培養し、フレンチプレスによる破砕、超遠心により抽出液を得た。得られた抽出液からtRNAを除くため、まず20種のアミノ酸とATPを過剰に加えることで内在性のtRNAをアミノアシル化し、Hisタグ融合EF-Tuを系内に添加した。これによりアミノアシル化された内在tRNAがHistag-EF-Tuと結合する。これをNi-NTAカラムにより除去することで、抽出液系内からtRNAを除いた。得られた無細胞合成系に様々な濃度のtRNAを添加して、モデルであるGFPの発現を検討した。その結果加えたtRNAの濃度変化により蛍光強度が変化したことがみられ、翻訳速度によりフォールディングを制御できるシステムが構築されたことを確認した。
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