2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750148
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
塚本 眞幸 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (10362295)
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Keywords | 天然物有機化学 / 環状ジアデニル酸 / ホスホロアミダイト法 / ホスホトリエステル法 |
Research Abstract |
平成23年度の研究実績の概要は、次のとおりである。 (1)前年度までに確立した環状ビス(3'-5')ジアデニル酸(以下、c-di-AMPと略す)の液相合成法を用いて、生理活性研究を実施するのに十分なc.di-AMPを合成した。この過程で、脂溶性の高い人工誘導体2'-O-TBDMS-c-di-AMPのキャラクタリゼーションにも成功した。 (2)ヌクレオチドのリボースの置換基は、ヌクレオチドの細胞膜透過性、ホスホジエステラーゼに対する安定性、活性部位との親和性と密接な関係があり、それが生理活性に影響を及ぼすことが知られている。そこで前年度開発した方法を基盤として、種々のc-di-AMP誘導体の合成をおこなった。合成効率は、c-di-AMPの場合とほぼ同等で、前年度までに確立した合成方法の汎用性が高いことがわかった。 (3)c-di-AMPの生理活性を、枯草菌の芽胞形成率で評価するために条件検討を、共同研究者とともに行った。Bacillus細胞を栄養欠乏培地で培養し、芽胞形成を誘導した後、芽胞形成しなかった細胞を熱処理で殺し、寒天培地で培養して芽胞由来のコロニーの数を測定した。この手法により、芽胞形成率を評価できることが明らかとなった。 多様なc-di-AMP誘導体の合成法およびその生理活性の評価法を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期目標である環状ジアデニル酸の効率的合成法を確立した。さらに、この方法を基盤として、種々の誘導体の合成へと展開することができた。また、枯草菌の芽胞形成率の測定法も確立した。以上のように、多様なc-di-AMP誘導体の合成法およびその生理活性の評価法を確立することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに化学合成したc-di-AMPおよびその誘導体を用いて、種々の微生物(バクテリア、カビなど)に対する生物機能・生理活性探索実験を共同研究者とともに実施する。合成化学的には、c-di-AMPの(1)細胞膜透過性の向上および(2)酵素耐性の向上を指向したc-di-AMP人工修飾体の合成を行う。生物機能・生理活性探索研究の結果を参考にして、有用機能を有すると期待されるc-di-AMP人工修飾体の分子設計と創製を行う。加えて、有用な機能を有するc-di-AMP人工誘導体の設計を論理的に行うためには不可欠な、c-di-AMPの機能発現機構の解明に向けて、c-di-AMPと、同物質が作用する受容体タンパク質との複合体を入手するために必要なc-di-AMP人工修飾体も合成する.
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Research Products
(6 results)