2010 Fiscal Year Annual Research Report
病原タンパク質の細胞内分解を誘導する新規機能性核酸の開発
Project/Area Number |
22750153
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山吉 麻子 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (70380532)
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Keywords | ユビキチン / 核酸 / ペプチド / 分子標的薬 / ガン |
Research Abstract |
細胞内では、ミスフォールドタンパク質や、不要になったタンパク質を細胞から除去する品質管理機構が働いており、ユビキチンは不要なタンパク質の目印となる『分解タグ』として重要な役割を担っている。本研究課題では、この様なタンパク質の品質管理機構を利用し、病因タンパク質を細胞内で分解するシステムの開発を目的とした。標的タンパク質として、転移性乳ガンで高発現しているクロマチンリモデリング因子であるSATB1を選択し、SATB1にユビキチン付加を誘導する機能性分子を設計することで、病原タンパク質のユビキチン化を誘導する新規機能性分子の設計と乳ガン細胞に対する増殖抑制効果を評価した。 SATB1がDNA結合性タンパク質であることを利用し、SATB1をトラップする足場として、SATB1の認識配列を有する16量体の二重鎖DNA(デコイDNA)を設計した。デコイDNAの片方の鎖の5'末端に、ユビキチンリガーゼであるXIAPをリクルートするシグナルペプチド(degron)を固相上でコンジュゲートし、切り出し、脱保護の後、HPLCにより精製した。得られたデコイDNA (degron-Decoy)をMDA-MB-231乳癌細胞株に投与し、細胞増殖抑制効果を評価した。まず、デコイDNA単独の細胞増殖抑制効果を評価した。その結果、デコイ投与濃度460nMで19%、860nMで60%の細胞増殖職制効果が認められた。また、デコイDNA処理したMDA-MB-231細胞からtotal RNAを抽出し、RT-PCRを行ったところ、SATB1下流遺伝子(S100A4, CTGF, ERBB2, VEGFB)の発現を顕著に抑制していることが明らかとなった。これより、我々の設計したデコイDNAは、SATB1の機能を制御する上で有効な分子骨格となることが示された。
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