2011 Fiscal Year Annual Research Report
変異原性核酸認識モチーフの開発と遺伝子の網羅的解析への応用
Project/Area Number |
22750154
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
小堀 哲生 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (00397605)
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Keywords | 酸化損傷塩基 / DNA / 変異原性 |
Research Abstract |
様々な要因によりDNA配列中に蓄積されていく突然変異は、癌や生物個体の加齢の原因となることが報告されている。そのため、突然変異発生のメカニズムの解明、及び抑制方法に関する研究は極めて重要な課題である。そこで我々は、「DNA突然変異の要因である変異原性核酸の特異的認識モチーフの開発及びその応用」を本課題の目的とするして研究を行った。本研究機関では、変異原性核酸の中で最も出現頻度の高い8-オキソグアニン(8oxoG)を標的核酸として、二種類の実験を行った。 最初の実験では、8oxoGを認識する有機小分子を網羅的に探索するために、8oxoGを鎖中に含むDNA二重鎖を金膜上に固定化したSPRセンサーチップを数種類作成した。8oxoGを一塩基バルジ構造中に含むDNA二重鎖を固定化したSPRセンサーチップを用いて、スクリーニングを行った結果、2,6-ジアミノピリジン誘導体がグアニン塩基と8-オキソグアニン塩基を効率よく識別することを見出した。 二番目の実験では、酵素が8-オキソデオキシグアノシンを認識する際の認識モチーフを調べることを目標として実験を行った。この研究は、カリフォルニア大学デービス校のDavid教授のグループ、スタンフォード大学のKool教授のグループと我々のグループの共同研究により行われた。様々な8-オキソデオキシグアノシンミミックを用いて、酵素の認識に必要な部位の同定を行ったところ、人のもつ8-オキソデオキシグアノシン切断酵素と、大腸菌のもつ8-オキソデオキシグアノシン切断酵素では、ことなったモチーフで8-オキソデオキシグアノシンを認識していることを明らかとした。また、8oxoGの正確な認識には、水素結合部位を認識するだけでなく、塩基を上下から挟み込むように認識することも重要であることが明らかとなった。
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