2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
開發 邦宏 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70419464)
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Keywords | 転写制御 / バイオテクノロジー / 核酸 / 遺伝子 / 有機化学 |
Research Abstract |
二重鎖DNAは、核酸塩基であるアデニン(A)とチミン(T)、グアニン(G)とシトシン(C)がワトソン-クリック塩基対を形成し、安定な二重鎖構造を形成している。細胞の核内では、この二重鎖DNAが遺伝子の情報源となっており、必要に応じて転写関連因子が遺伝子をコード配列の上流(プロモーター領域)に位置する二重鎖を解離させることにより、ポリメーラゼが遺伝子の転写を行うことで遺伝子の発現がなされる。 本課題では、光応答型ペプチド核酸という非天然核酸分子を利用し、二重鎖DNAを光刺激により解離させ、遺伝子の転写を調節する人工転写因子の開発を目指している。 ペプチド核酸(PNA)は、DNAやRNAの糖とリン酸が2-メチルアミノグリシンに置換された非天然核酸アナログであり、電価的に中性であることから、標的DNAに対する静電反発がなく、安定なワトソン-クリック塩基対を形成する。また、DNA上の標的配列に対して、ワトソン-クリック塩基対を形成するPNA鎖と、フーグスティン塩基対を形成するPNA鎖を架橋分子でつないだ"ヘアピン型PNA"は、二重鎖DNA中の標的DNA鎖とDNA/PNA/PNAの三重鎖を形成して、本来PNAの標的DNA鎖と会合していた他方のDNA鎖を解離させることができる。 本年度は、可視光に応答して異性化する新規アゾベンゼン誘導体を合成し、ヘアピン型PNAにの架橋分子として導入した。そして、この"可視光応答性ヘアピン型PNA"を用いて、標的二重鎖DNAの解離を光制御することを目指した。その結果、可視光応答性ヘアピン型PNAは、アゾペンゼンの幾何構造がシス型のときには標的配列に対する結合が弱いこと。一方で、可視光を照射してアゾベンゼンの幾何構造をトランス型にした場合は、標的二重鎖DNAと効率的に会合し、さらに二重鎖DNAを解離させることが明らかになった。 以上の成果から、"可視光応答性ヘアピン型PNA"は、光照射により標的二重鎖DNAの会合を望むべきタイミングで解離させる遺伝子調節ツールになりうることが期待された。
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Research Products
(3 results)