2010 Fiscal Year Annual Research Report
インターエレメント化学の要素を取り入れた金属タンパク質デザイン
Project/Area Number |
22750156
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
松尾 貴史 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (50432521)
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Keywords | インターエレメント / タンパク質デザイン / 有機金属 / 触媒反応 |
Research Abstract |
金属タンパク質のde novoデザインにおいて主要な金属配位形式は、窒素、酸素あるいは硫黄配位であるが、これには限定されない金属配位形式を適用すれば、新しい金属タンパク質デザインのアプローチが提案できる。そこで、本年度はC配位錯体をタンパク質デザインに適用することを試みた。タンパク質ドメインの割れ目部分は、立体選択的合成にキラル環境でありながら、基質が触媒部位にアクセスしやすく、生成物が放出されやすいという特性が期待できる。このことに着目し、セリンプロテアーゼの阻害機構を利用できる「グラブス触媒部位を有するプロテアーゼ阻害剤」を設計した。本阻害剤の設計にあたっては、素材タンパク質の基質認識機構により、タンパク質内に取り込まれ、セリンプロテアーゼの活性部位に存在するヒスチジン残基をアルキル化するように、疎水性アミノ酸側鎖およびクロロメチルケトン部位を、グラブス触媒のNHC配位子部位に導入した。クロロメチルケトン部位の構築はHIV-1プロテアーゼ阻害剤合成の方法を応用し、反応および精製条件を検討することでグラムスケールの合成が可能となった。また、グラブス触媒部位とのアミド結合を介したコンジュゲートについては、縮合剤を用い方法では錯体の分解が見られ、低温での混合酸無水物法が有効であることが分かった。このように阻害剤合成法を確立したのち、セリンプロテアーゼへの導入を試みた。導入方法および精製法を検討した結果、精製中の錯体の分解を抑制するためには塩化カリウムなどの塩化物イオンを共存させることが必須であり、また錯体を含んだタンパク質は、通常の陽イオン交換カラムを用いる方法で精製可能であることが分かった。カラム精製においては、錯体の有無にかかわらず、ほぼ同程度の塩濃度で溶出され、化学修飾によってタンパク質の立体構造は大きく影響を受けていないことが分かり、本研究アプローチの有用性が示された。
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[Journal Article] Effect of Heme Modification on Oxygen Affinity of Myoglobin and Equilibrium of the Acid-Alkaline Transition in Metmyoglobin2010
Author(s)
Tomokazu Shibata, Satoshi Nagao, Masashi Fukaya, Hulin Tai, Shigenori Nagatomo, Kenji Morihashi, Takashi Matsuo, Shun Hirota, Akihiro Suzuki, Kiyohiro Imai, Yasuhiko Yamamoto
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Journal Title
J.Am.Chem.Soc.
Volume: 132
Pages: 6091-6098
Peer Reviewed
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