2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん抑制遺伝子発現を目指したDNAのB-Z転移化合物の開発
Project/Area Number |
22750157
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋田 直彦 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (10423972)
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Keywords | B-Z転移 / カチオン性共重合体 / CDスペクトル / 生理的条件下 |
Research Abstract |
がん抑制遺伝子の発現が不活性化されているがん細胞中で、B-Z転移化合物によって、がん抑制遺伝子の発現を促し、がん治療に繋がるシステムを構築するために、生理的条件下で作用するB-Z転移化合物の設計を行う。一般的に高濃度のカチオン(4M塩化ナトリウム等)はB-Z転移を誘起することが知られている。しかし、細胞中でB-Z転移を誘起させるには、高濃度のカチオンを用いるわけにはいかない。すなわち、生理的条件下でB-Z転移を誘起する化合物を用いる必要がある。ところが、生理的条件下でB-Z転移を誘起できる化合物は数種しかなく、さらにそれらの化合物はスペルミン等のオリゴカチオンであり、細胞内でB-Z転移を誘起させるにはDNAに対する結合力が低いことが予想される。前年度は、DNAに対して高い親和性を有すると予測される種々のカチオン性高分子を主鎖に、親水性のデキストランやPEG等を側鎖に持つカチオン性グラフト共重合体を様々に合成した。本年度は前年度に合成したカチオン性共重合体を使って生理的条件下で効果的にB-Z転移を誘起できるかをCDスペクトル、UVスペクトル、FCS測定等で評価し、その結果を更なる最適な共重合体合成にフィードバックした。その結果、高分子量のカチオン性共重合体ほど、B-Z転移速度が速く、さらに安定性にも優れていた。この高分子は生理的条件下において短時間であるが、Z型を維持できてることが分かった。
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