2010 Fiscal Year Annual Research Report
代謝産物の生体高分子の安定化、活性化に関する作用機構の解明
Project/Area Number |
22750160
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
甲元 一也 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (60388759)
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Keywords | 代謝産物 / ベタイン / アナログ / 対イオン化合物 |
Research Abstract |
今年度は、合成したベタイン誘導体の溶液中での挙動を動的光散乱(DLS)測定によって行った。効果を検討したのは天然の代謝産物であるグリシンベタインとDNAの安定性や酵素活性に最も強い効果を示したN,N,N-トリ-n-ブチルグリシネートを用いて評価した。低濃度では散乱強度が小さく測定することはできなかったが300mM以上の濃度では解析することが可能な散乱強度が得られ、フィッティングの結果、300mM-3Mの範囲では2-4nmくらいの粒径、すなわちモノマー分散していることが明らかとなった。このN,N,N-トリ-n-ブチルグリシネートは有機溶媒にも可溶であり、その溶液中でもDLS測定を行ったが数百nm~数μm程度の大きな会合体を形成することが明らかとなった。水中ではこのベタイン誘導体の添加に伴い、活量の急激な低下が観測されており、これはすなわちすべてのベタインがモノマー水和され、モノマー状態で分散していることに起因していることが示唆された。次年度は粘度、密度測定などを行い、さらに詳細な溶液物性を比較していきたいと考えている。また、今年度は合成したベタイン誘導体を用いて種々の酵素系への添加実験を行った。その結果、メカニズムが異なる種々の酵素の活性を向上することが明らかとなった。また、溶液物性の評価と重なるように酵素とのモル比よりは溶媒に溶けるベタイン誘導体の濃度が強く関与していることが示唆されている。これらの一連の結果は、学会や論文(Bioorg.Med.Chem.)等で報告している。
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Research Products
(7 results)