2011 Fiscal Year Annual Research Report
代謝産物の生体高分子の安定化、活性化に関する作用機構の解明
Project/Area Number |
22750160
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
甲元 一也 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (60388759)
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Keywords | 代謝産物 / ベタイン / アナログ / 対イオン化合物 / 水和 |
Research Abstract |
これまでに続けてきた申請者らの研究成果から、適合溶質(代謝産物アナログ)と生体分子との相互作用は、生体分子とアナログ間に働く直接的な相互作用ではなく、間接的な相互作用であることが示唆されている。どのような因子によって相互作用変化が誘起されるのか、その最も関与の可能性が高いのは水和であり、今年度では、適合溶質の水和について詳細に評価し、適合溶質の生体分子へ及ぼす作用機構を解明することを目的に研究を行ってきた。過去の定性的な結果より、代謝産物アナログの溶解と水和には、その化学構造が重要となっており、アンモニウム基の外殻が疎水性の炭化水素鎖であることが作用の発現に重要であった。一方、水と相互作用できるような官能基が存在すると、生体分子に及ぼす効果が半減した。そこで、新しくアンモニウム基の外殻に水酸基を有するアナログを合成し、蒸気圧、誘電率、密度、動的光散乱測定によるアナログの平均粒径等を測定し、水溶液中でのアナログの挙動を調査した。 その結果、代謝産物アナログは数mol/Lという高濃度条件下でもモノマーとして水に溶解していることが明らかとなった。また、外殻が炭化水素系のアナログは蒸気圧が極端に変化し、水と強く溶媒和して大きな溶媒和相を抱えていることが示された。一方で、強水和性のイオンや糖類と異なり、水の密度変化が小さいことが明らかとなった。すなわち、疎水性の表面に多量に結合した水和水は密度が異なり、基質や酵素を相分離させ、結合定数を上昇させており、また、そのような溶媒の構造変化が酵素や核酸の高次構造や構造安定性に影響を及ぼしていることを示唆している(現在、論文投稿準備中である)。
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Research Products
(5 results)