2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機半導体界面での電荷移動を用いたキャリアドープの実現
Project/Area Number |
22750163
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
合志 憲一 九州大学, 工学研究院, 助教 (50462875)
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Keywords | 有機半導体界面 / キャリアドーピング / 電荷移動 |
Research Abstract |
半導体特有の性質の一つとして、ドーピングによるキャリア密度の制御がある。実際に、有機半導体薄膜への電荷移動錯体を利用したドーピングは有機LED(Light emitting diode)の電気特性を著しく向上できる事が知られている。一方、高いキャリア移動度を有しているため非常に注目されている有機半導体単結晶に関しては、単結晶へのドーピングは格子整合をとる必要があるため、キャリアドープが可能な分子はその分子構造によって制限を受ける。当該年度において、非常に高い電荷移動度が報告されているルブレン単結晶を用いて、有機半導体単結晶/有機半導体薄膜界面における電荷移動によるキャリアドーピング法の確立について検討を行った。界面を利用した電荷移動は分子構造の強い制限は無く、単結晶へのドーパントとして様々な材料を検討することが可能である。ルブレン単結晶/F_4TCNQ,ルブレン単結晶/MoO_3薄膜における電荷移動状態によるキャリアドーピングについて検討を行った。ルブレン単結晶/F_4TCNQ薄膜界面に関しては、高い導電性は得られなかった。これは電子受容体であるF_4TCNQのLUMO準位(5.2ev)に対して、電子受容体であるルブレンのHOMO準位(5.3eV)が深く、電子供与体と電子受容体の間で生じる電荷移動過程においては活性化エネルギー(0.1eV)が必要なため、電荷移動量が不十分であるためと考えられる。一方,ルブレン単結晶/MoO_3薄膜界面においては比較的良好な導電性が得られた。これはMoO_3薄膜の伝導帯は非常に深いためと考えられる。しかしながら、ルブレンと電極Auの間に大きなエネルギー障壁が存在するため、金属/有機半導体間のオーミック接触は得られなかった。今後は、金属/有機半導体間のオーミック接触が得られるペンタセン単結晶を用いて、高いキャリアドーピングの実現および低温下での電子特性を検討する。
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