2012 Fiscal Year Annual Research Report
高い配向性を持つチオフェン縮環フタロシアニン類の開発と有機薄膜デバイスへの応用
Project/Area Number |
22750171
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮碕 栄吾 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (00432683)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | フタロシアニン / 有機半導体 / 有機薄膜デバイス |
Research Abstract |
本研究では、チオフェン縮環ポルフィラジンおよびその共役拡張分子を合成し、その構造・物性を調査することを目的としている。最終年度となる本年度はフタロシアニン類縁体として、チアジアゾールが縮環したポルフィラジン(TzPz)を新たに開発し、アルキルチオフェン縮環ポルフィラジン(アルキルTc)、ならびにアルキルベンゾチオフェン縮環ポルフィラジン(アルキルBTc)の銅錯体と合わせて有機薄膜太陽電池(OPV)を作製し、その特性評価を行った。 TzPzの合成:HOMO準位の大きな新しいPc類縁体として、アルキルTzPzをアルキルジシアノチアジアゾールから二段階で合成した。サイクリックボタンメトリ測定において二段階の酸化、還元波が観測され、オンセット電位から見積もられたHOMO準位は5.6eVとなった。この値はアルキルTc(EHOMO=5.0eV)と比較すると0.6eV大きくなっており、期待通りの結果となった。これらの結果はチアジアゾ-ル環が電子吸引性基として強く作用したためであると考えられる。 OPVの評価:合成したPc類の半導体特性を明らかにするために、有機薄膜を用いたOPVを作製し、特性評価を行った。アルキルTcとフラーレン(C_<60>)を用いた二層型素子では疑似太陽光照射下において光電変換効率1.2%を示した。一方、アルキルBTcおよびアルキルTzPzとC_<60>の太陽電池素子では光電変換が起こらなかった。これはPc類においては単純な共役拡張ではデバイス特性の向上につながらないこと、またHOMO準位が深く有機半導体として有望であってもLUMO準位も深いためにp型半導体として機能していないと推測される。これらの結果は、p型有機半導体を設計する際にHOMO準位のみならずLUMO準位も考慮する必要があることを示唆しており、今後の有機半導体開発における重要な知見となった。
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Research Products
(15 results)