2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン担持重合開始剤を利用した特異構造高分子の精密合成と機能
Project/Area Number |
22750178
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
本柳 仁 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (10505845)
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Keywords | 精密重合 / フラーレン / リビングカチオン / 特異構造高分子 |
Research Abstract |
本研究では、電子・光電子機能特性だけでなく、非天然型の生理活性を有するフラーレンC_<60>をブロックポリマーや櫛型ポリマーなどに代表される特異構造高分子の末端に担持させることによりフラーレンの特性と高分子部位の機能性とを組み合わせた新たな材料の創製を目指している。本年度の成果として、(1)フラーレンを有する重合開始剤の合成と精密重合法の確立と(2)末端フラーレンポリマーの自己組織化挙動について知見を得ることができた。 まず、(1)についてであるが、新規に開発したフラーレン担持重合開始剤を用いたリビングカチオン重合の最適な反応条件を見出し、多数のビニルエーテルモノマーを用いたリビングカチオン重合に適応することに成功した。この結果、高効率にフラーレンをポリマー末端に有するフラーレンポリマーを合成することが可能となった。このような手法による合成は、これまで報告例がなく、本研究が初めての成功例である。 次に、(1)で得ることができた末端フラーレンポリマー群の中で、フラーレン部位とポリマー側鎖部位の溶解性が大きく異なるものを用いて、自己組織化挙動を検討した結果、ポリマー中のフラーレン部位が凝集し、会合体を形成することを見出した。また、溶媒や濃度、添加剤といった外部の環境を変化することで、ポリマー同士の会合や解離を制御することにも成功している。フラーレン誘導体をナノスケールで精密に配列させることは、フラーレンの物性を大きく向上させるために必要であり、本研究結果のフラーレンポリマーの自己組織化挙動の制御は、フラーレン部位の配列制御に大きな役割を果たす。さらに、リビングカチオン重合によって得られた機能性ポリビニルエーテルの自己組織化についても知見を蓄えることができた。
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