2011 Fiscal Year Annual Research Report
色素増感太陽電池への応用を指向した新規有機色素の合成及び凝集構造制御
Project/Area Number |
22750180
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前田 壮志 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (90507956)
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Keywords | スクアリリウム / 色素増感太陽電池 / トリフェニルアミン / 近赤外 / メタルフリー有機色素 |
Research Abstract |
本研究はメタルフリーな三脚型有機色素の開発を通して,色素増感太陽電池(DSSC)の高効率化に資する近赤外吸収増感色素の開発と設計指針を確立することを目的としている.本年度は三脚型有機色素の脚部に適用可能な近赤外光吸収スクアリリウム(SQ)増感色素の合成法を検討した.また,昨年度開発した三脚型構造を有するSQ色素を増感色素として用いて色素増感太陽電池を作製・評価した.近赤外光吸収SQ色素の開発では,従来法の脱水縮合と四角酸スズ誘導体およびPd触媒を用いたクロスカップリング反応を組み合わせた合成法を提案した.この方法で一般的なSQ色素末端にさらにシクロブテン骨格を導入することが可能となり,π共役系が直線的に拡張された近赤外吸収SQ増感色素の合成に成功した.それらを用いたDSSCは近赤外領域に分光感度が見られ,増感色素として機能することが示された.昨年度合成が完了した三脚型SQ色素の酸化チタンへの吸着挙動をIRスペクトルで評価したところ,三脚の脚部末端にあるカルボキシ基すべてが酸化チタンへの吸着に関与していることが明らかとなった.また,三脚型色素の酸化チタンへの吸着能は,脚部のみからなるSQ色素(モデルSQ)より高いことが吸収スペクトルより示された.三脚型色素を用いたDSSCは幅広い波長域(800~400nm)に分光感度が見られ.短絡電流密度及び開放電圧はモデルSQの場合より高く,結果として三脚型にすることでモデルSQの場合より変換効率が大幅に向上した(PCE=3.4%).この結果は,増感色素の新しい設計コンセプトである三脚型構造が吸着能の向上や電荷再結合の抑制に寄与したためと考えられ,DSSCの高効率化が十分期待される増感色素の開発に成功した.
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