2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物半導体ナノ結晶と金属ナノ結晶を共析出した結晶化ガラスの創製と物性評価
Project/Area Number |
22750182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
正井 博和 京都大学, 化学研究所, 助教 (10451543)
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Keywords | セラミックス / 複合材料・物性 / ナノ材料 / 結晶化ガラス |
Research Abstract |
ナノ~マイクロサイズの異相構造を自己組織的に発現させた結晶化ガラスは、ゲスト・ホスト型の複合材料とは一線を画する、機能性バルクガラス材料である。これまでの結晶化ガラスの報告例は、ガラスから誘電体結晶を析出するものがほとんどであるが、金属と誘電体という異なる誘電特性を有するナノ結晶が共析出した材料が作製できれば、機能性ナノ結晶を含有する新規機能性無機材料として魅力的である。本研究は、酸化物ナノ結晶と金属ナノ結晶を共析出した結晶化ガラスを種々の方法を用いて創製し、その物性を評価することにより、新規機能性結晶化ガラスとして発信することを研究目的とする。 平成23年度は、溶融急冷法により作製したガラスを再溶融し、白金ナノ結晶が析出したガラスの作製、及び、白金析出ガラスを熱処理することにより、従来報告された温度よりも約40℃以上も低温において、白金ナノ結晶と非線形光学結晶Ba_2TiGe_2O_8結晶が共析出した結晶化ガラスの作製に成功した。溶解した白金が、再溶融プロセスの初期段階のみ白金ナノ結晶子として析出し、さらに、白金ナノ結晶が長時間溶融後において、ガラスメルト中に再溶解し均一なマトリックスを与えることは本研究で得られた新しい知見である。再溶融時間が短い試料中のみに析出した白金ナノ粒子は、坩堝から溶出した白金が還元反応により析出したものであり、メルト中に溶解している白金はガラス中の核生成サイトとなることを確かめた。ガラス中の不均一性が、その結晶化に強く影響を与えることは、多くの研究者が示唆していることであり、今回の結果は、ガラス中における核生成サイトとして溶存白金を利用し機能性材料設計に応用することが可能であることを示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の成果として、白金ナノ結晶とBa_2TiGe_2O_8結晶の共析出を見出すなど、おおよそ順調に進行しているが、当初23年度に予定していた金属共析出結晶化ガラスにおける物性(発光・触媒能)の評価があまりおこなえていないため、今後、重点的に調査を行う必要がある
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結晶化ガラスの物性評価等を、他の研究機関に依頼して迅速におこなう予定である
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Research Products
(3 results)