2010 Fiscal Year Annual Research Report
異方性構造ユニットからの結晶性シリカー有機ハイブリッド多孔体の創製
Project/Area Number |
22750183
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下嶋 敦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (90424803)
|
Keywords | シリカ / 構造単位 / 多孔体 / 無機有機ハイブリッド / ゼオライト |
Research Abstract |
本研究課題では、ケージ状のシロキサンユニットが2つ連結した異方性ビルディングブロックを合成し、それらを3次元的に連結することで結晶性ハイブリッド多孔体を構築することを目的としている。H22年度は、構造単位の連結法の確立に注力し、とくに炭素-炭素結合形成反応について検討を行った。D4R構造のシロキサンユニットを基本ユニットとして、ブロモフェニル基がビニレン基を介して結合した化合物(1)をナノ構造単位として用い、エチニル基を有する各種有機リンカーとのクロスカップリング反応、あるいは、ブロモフェニル基間の反応による無機-有機ハイブリッド多孔体の構築について検討を行った。ルートAとして、化合物1と各種エチニル化合物とのPd/Cu触媒を用いたSonogashiraカップリング反応を行った。また、ルートBとして、化合物1単独でのNi(0)錯体を用いたYamamoto反応も行った。各ルートにおいて反応が十分進行して新たな炭素-炭素結合が形成されたことが組成分析(XRF)、固体NMRにより確認された。また、固体Si NMRにより、ルートAで得られた生成物のスペクトルには、化合物1のSi-O-Si結合の開裂を示すシグナルが観測されたが、ルートBにより得られた生成物においては、D4R構造が大部分保持されていることが示された。窒素吸着測定により、いずれのルートより得られた生成物も高比表面積(830~1250 m2 g-1)および大細孔容積(0.81~1.18 cm3 g-1)を有する多孔体であることが確認され、またTEMにより試料全体にわたってミクロ孔が観察された。特にルートBで得られた生成物は、平均1.2nmの比較的狭い細孔径分布を有し、さらに粉末X線回折測定の結果、ブロードな回折ピーク(d=1.8nm,0.9nm)を示したことから、D4Rユニットがある程度規則的に配列していると推定された。
|