2010 Fiscal Year Annual Research Report
固体―気体界面の新規な拡散モデルに基づく二酸化炭素回収・貯留技術の開拓
Project/Area Number |
22750184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯部 敏宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20518287)
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Keywords | セラミックス / 結晶構造・組織制御 / 表面・界面物性 / 機能性セラミックス |
Research Abstract |
本研究では、フィルタ表面の化学的特性に着目し、N_2とCO_2の混合ガスからCO_2ガスを分離することを目的とした。フィルタの特性を決定するパラメータには気孔率、細孔径分布、細孔壁表面の化学的性質の3つが挙げられる。そこで、従来のガス拡散で分離能の支配因子の中軸とされる気孔径や気孔率を任意に高精度でコントロールすることに取り組んだ。まず、種々の粒径のアルミナ粒子-水-分散剤からなるスラリーを調製し、鋳込成形によりフィルタを作製した。得られたフィルタを細孔径分布と気孔率で評価した。焼成プログラムを詳細に検討したところ、気孔率を約25-40%、細孔径分布を50-1000nmで任意にコントロールすることに成功した。このフィルタのガス透過率を測定したところ、細孔径が小さいフィルタではN_2がCO_2より透過しやすかった。これは細孔表面のOH基によるものと考えられた。一方、細孔径が大きいフィルタではガス種による透過率の違いが見られなかった。これは細孔径の拡大と流速の増加によるものと考えられた。また、細孔壁の化学的性質を決定するため、固体表面とCO_2分子の相互作用を分子動力学法で計算した。その結果、アルミナ表面とN_2の相互作用エネルギが-3.7kcal/molで、アルミナ表面とCO_2の相互作用エネルギ(-7.4kcal/mol)より大きいとわかった。さらに、ベーマイトとN_2およびCO_2の相互作用計算したところ、それぞれ-2.6と-113kcal/molであり、ガスの選択性が高いとわかった。このため、ベーマイト表面がガス分離に有効な表面であることが示唆された。
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