2011 Fiscal Year Annual Research Report
固体-気体界面の新規な拡散モデルに基づく二酸化炭素回収・貯留技術の開拓
Project/Area Number |
22750184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯部 敏宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20518287)
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Keywords | セラミックス / 結晶構造・組織制御 / 機能性セラミックス / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
本研究では、フィルタ表面の化学的特性に着目し、N_2とCO_2の混合ガスからCO_2ガスを分離することを目的とした。まず、アルミナフィルタを鋳込成形で作製した。平均粒径約150nmのアルミナ粒子を蒸留水に分散させ、分散剤を添加した。得られたスラリーを石膏型に鋳込み、得られた成形体を800-1000℃で2時間焼成することでフィルタを作製した。得られたフィルタを細孔径分布と気孔率で評価したところ、気孔率が約25-40%、細孔径分布が50-1000nmだった。これらのフィルタにはガス分離能がないことが確認された。次に、このフィルタ細孔表面に水熱合成法でベーマイトを生成させた。このフィルタのガス透過率を測定したところ、フィルタの平均細孔径がガスの平均自由行程より大きい場合、N_2とCO_2のガス透過係数は一致し、ガスの分離が不可能とわかった。一方、フィルタの平均細孔径がガスの平均自由行程より小さい場合、N_2のガス透過係数はCO_2のガス透過係数より高かった。固体表面とCO_2分子の相互作用を分子動力学法で計算したところ、ベーマイト-N_2間の相互作用エネルギは、ベーマイト-CO_2間の相互作用エネルギに比べて遥かに低かった。このため、N_2は細孔表面との相互作用がなく、フィルタ内を拡散すると考えられるのに対し、CO_2は細孔表面との相互作用が高く、フィルタ内を拡散が制限されると考えられた。 上記の結果から、セラミックフィルタによるガス分離には、多孔体の細孔径とガスと細孔表面の化学的性質の複合的なパラメータが関係すると考えられ、それらの精密な制御が重要と結論づけられた。
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