2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750186
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
福田 勝利 信州大学, ナノテク高機能ファイバーイノベーション連携センター, 助教 (80504331)
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Keywords | 層状・層間化合物 / 金属 / ナノ材料 / ナノシート |
Research Abstract |
本研究では、「層状化合物の単層剥離から得られたナノシートの金属化現象の解明および誘導された金属ナノシートの基礎的な理解」を目的とする。平成22年度は、金属ルテニウムナノシートの詳細なキャラクタリゼーション、酸化ルテニウムナノシートの構造と金属化の相関関係、金属化における物質拡散の影響、金属ナノシートまでの還元手法の4点について研究を進めた。まず、前駆体の異なる二種類の酸化ルテニウムナノシートの水素雰囲気下焼成を行った。放射光in-plane回折法を用いて構造変化挙動を調べたところ、トポタクティックな金属化現象を誘発するためには、前駆体の二次元周期構造と生成する金属の二次元周期構造の関係が重要であることが実験的に示された。次に、金属ナノシート形成時における物質拡散の影響を調べるため、前駆体ナノシートの環境・累積枚数が異なる複合材料を合成し水素雰囲気下焼成を行った。この結果、不定形のナノシート再積層体ではバルクの金属ルテニウムが生成した。ナノシートが累積した多層膜では、c軸配向した厚膜状金属ルテニウムが生成することがわかった。両反応とも極低温(~120℃)で進行しており、既報のルチル型酸化ルテニウムの還元温度(~150℃)よりわずかに低いことがわかった。これらの結果は、金属ルテニウム単原子層の生成には物質拡散を抑制することが重要であることを示唆している。また、水素還元法以外の別の金属化手法を模索することはメカニズムの理解に繋がるため、酸化ルテニウムナノシート系において検討を行った。空気、Arガス雰囲気下では300℃以上の加熱においては酸化物が生成し、還元剤(ヒドラジン)中100℃加熱処理においても金属化しないことまで明らかにした。 加えて研究を広い視点から進めるべく金属ナノシート系の探索も併せて行い、新前駆体として2Dブロンズ型酸化タングステンナノシートの創製にも成功している。
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Research Products
(9 results)