2011 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー誘起局所加熱と温度分布制御によるガラス内部の組成分布変化現象の解明
Project/Area Number |
22750187
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂倉 政明 京都大学, 次世代低炭素ナノデバイス創製ハブ, 特定専門業務職員 (90402958)
|
Keywords | ガラス / レーザー加工 / 組成分布制御 / 液晶空間光変調器 / フェムト秒レーザー / 温度圧力分布 / 熱拡散シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、ガラスの組成の空間分布を制御することによって機能性を向上する技術を確立するために、フェムト秒レーザーパルスの集光照射によってガラス内部の溶融領域で起こる組成分布変化の制御因子を見出すことを目的とした。制御因子はガラスの構成元素、熱的性質、温度分布、圧力分布と考えられ、それぞれの効果を明らかにする必要がある。本年度では、(1)空間光変調器を用いた多点同時レーザー照射によって複雑な温度分布を形成し、温度分布が及ぼす元素分布の影響を詳細に調べ、(2)元素拡散のシミュレーションにより、元素が温度分布に従って移動する物理的要因と構成元素の組み合わせ・温度分布・移動方向の関係を調査した。 (1)多点同時レーザー照射により多数の熱源を作るだけでなく、異なる繰返し周波数のレーザーを組み合わせることにより、温度勾配の空間分布を制御し溶融領域の形状を制御することに成功した。急峻な温度勾配は低い繰返し周波数で照射することにより作ることができるが、冷却速度が非常に速く溶融状態を保つことができなかった。そこで、高い繰返し照射を同時に組み合わせることで温度を高く保つ方法を開発し、溶融領域の形状制御の自由度が向上した。具体的には、鋭い頂点を持つ多角形を生じるような組成分布を作成することに成功した。また、急峻な温度勾配によって対流を引き起こし、特定の元素が局所的に集まることも見出した。 (2)1年目の研究により明らかにしたレーザー照射中の温度分布を用いて二成分系のガラス中での熱駆動拡散方程式のシミュレーションを行い、ガラスを構成するアニオンとの結合強度が強い元素が高温側に移動することが明らかになった。このことにより、添加する元素をうまく選べば、望みの元素を特定の場所に集められるようになり、その具体例として、相対的にアニオンとの結合強度の弱いInを加えることにより通常は低温側へ移動するBa2+イオンを高温領域に集めることに成功した。
|