Research Abstract |
光の波長程度の空間スケールで誘電率が不規則に変化した構造体はランダム媒質と呼ばれる。ランダム媒体では多重散乱光の干渉に基づく興味深い物性・現象が起こることが知られている。平成23年度は,酸化物の形態制御ならびに酸化物と金属を複合したナノ粒子によりランダム媒質を作製し,多重散乱光の閉じ込め効果の評価ならびに光の波長,波数ベクトル,偏光の自由度を最大限に活用した光機能性の発現を目指して,研究を推進した。その結果,次の成果を得た。 1.相分離を伴うゾルーゲル法によりCe^<3+>添加Y_3A_<15>O_<12>多孔体を作製し,湿潤ゲルの乾燥および熱処理条件が光散乱特性やCe^<3+>の光反応に及ぼす影響,ならびに光反応と多重散乱光の干渉に由来する光記録特性を調べた。超臨界乾燥を含むゲルの乾燥プロセスによって,得られる多孔体骨格のナノメートルスケールの構造が大きく変化することがわかった。加えて,ナノスケールの骨格構造に応じて光散乱強度やCe^<3+>の光反応速度の変化が確認され,光記録特性を向上させるための材料設計指針が得られた。 2.ランダム媒体と色素のような蛍光分子を組み合わせると,人工的なミラーなしでレーザー発振が起こる。この現象はランダムレーザーと呼ばれ,これまでは誘電体粒子をベースとしたランダム媒質が用いられてきた。本研究では,金属ナノ粒子をベースとしたランダム媒質を作製し,表面プラズモンによる電場増強に基づくレーザー発振を確認した。加えて,誘電体被覆されたコアーシェル型の金属ナノ粒子を作製し,蛍光分子と金属ナノ粒子の距離がレーザー発振の閾値に影響を及ぼすことがわかった。 2.ランダム媒体と色素のような蛍光分子を組み合わせると,人工的なミラーなしでレーザー発振が起こる。この現象はランダムレーザーと呼ばれ,これまでは誘電体粒子をベースとしたランダム媒質が用いられてきた。本研究では,金属ナノ粒子をベースとしたランダム媒質を作製し,表面プラズモンによる電場増強に基づくレーザー発振を確認した。加えて,誘電体被覆されたコアーシェル型の金属ナノ粒子を作製し,蛍光分子と金属ナノ粒子の距離がレーザー発振の閾値に影響を及ぼすことがわかった。
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