2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750191
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
渡辺 友亮 明治大学, 理工学部, 准教授 (30345392)
|
Keywords | 窒化物 / アンモノサーマ / 超臨界 / 光触媒 / 酸窒化物 / 蛍光体 |
Research Abstract |
窒化物は古くから高温材料や各種コーティングなど、耐環境性材料をして広く研究されてきた。近年になって青色LEDやそのほか高機能な半導体材料として窒化ガリウム(GaN)が世界的に注目され、多くの研究者が高品位な結晶作製に注力して激しい競争を繰り広げているのが現状である。金属酸化物材料の歴史が示すように、各種物性を追及していくと金属元素の複合化が必須であるのは事実である。それは複合酸化物のほうが単純な酸化物よりも桁違いに多数の化合物を作るし構造も多種多様だからと考えることができる。現在各種窒化物の研究はプラズマを用いたCVDなどの薄膜作製プロセスを除けば、いずれも酸化物前駆体などを常圧のアンモニア気流中で焼成しているものであり、結晶成長条件としては不十分と考えられる。本研究では金属合金を出発材料としたアモノサーマル合成法で、光触媒用材料として期待できるNaTaN2の合成を試みた。出発原料であるタンタル金属をナトリウムアミドと共にニッケル管に入れてからテストチューブに収納した。反応管を液体アンモニアで満たした後400℃まで昇温し、20時間保った。その後反応管の温度を800℃まで上昇させ5時間保持し反応を終了させた。反応後の試料は0.1Mの塩酸で洗浄した。得られたサンプルのX線回折図形から、加熱温度が473Kではペロブスカイト型の酸化物が生成していることがわかり、得られた粉末の色はうす緑色である。これは酸素欠陥によるものであると考えられる。573Kでは生成物は白色になるが結晶相は特定できなかった。673Kから黄色になり773Kで山吹色のNaTaN2を得ることが出来た。さらに温度を上げると酸化物になることがわかった。紫外可視吸収スペクトルからバンドギャップはおよそ2eVと見積もられ、可視光領域に十分な吸収をもつことが確認された。従って本合成法では殆ど合成例のないNaTaN2を、金属合金から500℃という低温でのアンモノサーマル合成により直接合成することに成功した。
|