2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノレオロジーマッピングのための応力緩和プローブ顕微鏡開発
Project/Area Number |
22750195
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤波 想 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助手 (50455325)
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Keywords | 高分子材料物性 |
Research Abstract |
般のAFMオープンループスキャナに対して,本研究予算で購入した低ノイズ型レーザーピックアップシステムを用いて,緩和時間の異なるゴム試料に対して,AFM応力緩和実験を行った。「AFM応力緩和実験」とは,AFMのカンチレバーをゴム試料に対して短時間で押し込み,その状態を保持したままにすることでAFMカンチレバーの応力緩和の挙動をとらえる手法であり,本研究課題は,この手法を確立することで,試料内部の局所的な粘弾性の分布をとらえようとするものである。 得られた応力緩和曲線から,数ミリ秒から数百ミリ秒での緩和時間が得られた。これはマクロスコピックな引張り試験による緩和時間とは大きく異なり,分子の違う種類の運動をとらえていると考えられる。 ただし,通常のオープンループスキャナをある程度の測定は行えるものの,スキャナクリープの影響が大きく,厳密な測定には不適であることが分かった。 次に,クローズドループスキャナを,本研究予算で購入した低ノイズ型レーザーシステムと組み合わせて用いた。クローズドループスキャナは一般に精密な位置調節を行ええるものの,応答が必ずしもオープンループスキャナより早くない。本実験ではできるかぎり応力緩和の初期のゴム材料の緩和挙動を測定したいので,このパラメータについて最適条件を探すべく,調整を行った。これにより,現在の装置で,ミリ秒単位で正確な位置制御ができる目処をつけることができた。この時間スケールは我々が所持している一般的なオープループスキャナの応答と同等かそれより早く,それでいてクローズドループスキャナの特性により,クリープ等の問題を避けることができる。これをベースに翌年度の研究を続ける。
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