2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノレオロジーマッピングのための応力緩和プローブ顕微鏡開発
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22750195
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤波 想 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助手 (50455325)
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Keywords | 高分子構造・物性 |
Research Abstract |
ナノ力学物性測定とAFM応力緩和測定手法を組み合わせた測定を行うためには、装置付属のソフトウェアでは不可能である。使用しているAFM装置には、信号を直接取り出せるよう、装置のコントロールボックスがある。ここからクローズドループスキャナの信号を取り出すために、装置の信号入出力用端子の分析を行った。この信号出力は少し遅れて出力されることなど、回路に起因するとみられる問題が明らかになったので、遅延の校正など、目的の測定が行えるように測定システムの改良に時間を費やした。 ナノ力学物性測定手法では、画素数分(64×64点程度の粗い画像でも4096個)のフォース測定が必要である。数が多く、手動での解析は実質的に不可能なので、当年度から、解析の自動化が行えるようにプログラムの作成に取り掛かった。 また、現状の装置やソフトウェアでは足りない部分について、装置メーカーと、装置やソフトウェアの問題点や修正依頼、要望を伝えた。 これと並行して、応力緩和測定と並行して、フォースディスタンスカーブ測定を異なる速度で行い、その速度依存性を測定することで、応力緩和測定において得られる緩和時間に対する情報が得られるか基礎的な実験を行った。 実験データの解析としては、接触面積の見積もりが非常に重要である。AFMでは接触面積を直接に測定できないので、他の得られるパラメータと理論を組み合わせて類推するしかない。多くのAFMフォース測定ではHertzやDMTモデルを使っているが、これは試料が軟らかい場合の凝着を十分に考慮に入れていない。そこで、軟らかい試料に適したJKRモデルに基づいて、接触面積を類推できるような理論の考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミリ秒より早い緩和時間には装置の大幅改良が必要になるが、それより遅い緩和の試料に関しては測定できることが明らかになった。ただし、精度の高い測定には、さらなる装置の校正が必要であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果をまとめて報告、論文発表するとともに、より幅広い試料で測定して当手法の有効性を探る。装置の緩和挙動のより厳密な評価手法を考察するとともに、力学物性マッピングとの組み合わせを完成させる。
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