2011 Fiscal Year Annual Research Report
環状オレフィン系非晶高分子フィルムの逐次2軸延伸過程における分子配向挙動の解明
Project/Area Number |
22750200
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宝田 亘 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50467031)
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Keywords | フィルム / 延伸 / 分子配向 / 非晶高分子 |
Research Abstract |
昨年までの検討により、環状オレフィンコポリマー(COC)フィルムをガラス転移温度に近い温度で延伸を行った際に、発生する複屈折が非常に低くなることが明らかとなっている。本年度は、この現象の原因が未延伸フィルムの構造にあると仮定し、数種類の未延伸フィルムを用いて延伸検討を行った。その結果、下記のことが明らかとなった。 1.未延伸フィルムによって、複屈折が低くなる現象が発生したりしなかったりする。 2.同じ未延伸フィルム内においても、複屈折が低くなる現象が発生する部位と発生しない部位が存在し、発生する部位のサイズはおおよそ10cm程度である。 3.複屈折が低くなる現象は未延伸フィルム作製からの年月に影響を受けない。 これらの結果より、複屈折が低くなる現象は、フィルム内に存在するある種の「むら」によって生じていることが判明した。環状オレフィンコポリマーは環状オレフィンとエチレンとのランダム共重合体であるが、環状オレフィンとエチレンの配置は完全にはランダムでなく、多少のブロック性が存在する。このため、現時点においては複屈折が低くなる現象は、部分的に環状オレフィンとエチレンの存在比に偏りが生じたことにより発生したものと考えている。しかし、複屈折が低くなる現象が見られるのは特定の延伸条件においてのみであり、通常の延伸においては複屈折が低くなる現象は見られないことから、実際に分子がどのように動いているかについて、より詳細な検討が必要と考えられる。
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