2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマーブラシによる多糖類微結晶コロイドの立体安定化と新規ナノコンポジットの調製
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22750202
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
荒木 潤 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (10467201)
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Keywords | セルロース / キチン / ナノウィスカー / 立体安定化 / ポリエチレングリコール / TEMPO酸化 / ナノコンポジット / ヒドロゲル |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、塩酸加水分解によって調製したセルロースナノウィスカーの表面に高分子を結合し立体反発による分散安定化を試みた。今回はモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)の片末端を酸クロリド化してセルロースナノウィスカー表面の水酸基との間でエステル形成を試みた。FT-IR測定からエステル結合の形成が認められたが、分散安定性は昨年度CDIを用いて調製した立体安定化ナノウィスカー懸濁液よりも低かった。 一方で、セルロースと同程度のサイズをもつ、キチンのナノウィスカーの立体安定化を試みた。mPEGの末端酸化によりアルデヒド基を導入し、キチン表面の一級アミノ基との間でイミンを形成後NaCNBH_3で還元する過程を経て、立体安定化微結晶を調製した。得られた懸濁液は電解質の存在下、特に、キチンの表面電荷が発揮されない強アルカリ性下においても安定に分散し、立体安定化の効果が顕著に発揮された。 さらに、セルロースウィスカーを分散安定化する手法としてシリカゲル表面に固定したTEMPO酸化剤を用いて表面のカルボキシル化を行った。これにより、TEMPO水溶液と同様にウィスカー表面にカルボキシル基を導入でき、高価なTEMPO触媒を回収して4回まで繰り返し利用できることがわかった。 また、これらのセルロースやキチンのナノウィスカーを補強材として用いる研究の一環として、水溶性多糖類を化学架橋して得られるヒドロゲル中にセルロースやキチンのナノウィスカーを導入し、補強ヒドロゲルを調製した。得られたゲルはナノウィスカーの導入量増加に伴ってヤング率や破断強度が増加し、膨潤率が低下した。しかし、系の電解質濃度を低くして膨潤率を高くするとゲルのヤング率が高くなる傾向が見られた。これはネットワークポリマーであるCMCやキトサンが電解質濃度の低い場合に剛直鎖として振舞うためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルロースやキチンのナノウィスカー懸濁液の立体安定化に関する新規な手法を確立できている。特に、キチンナノウィスカーの立体安定化は世界初である。残りの年度において結合高分子の分子量や反応温度、反応時間などを調節して結合量を変えるための下地カミ十分にできている。
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Strategy for Future Research Activity |
セルロース・キチンの両試料に対して、結合する高分子の分子量、反応温度、反応時間などのパラメータを様々に変化した場合、結合量ならびに得られた懸濁液の分散安定性がどのように変化するか調査する。また、得られた懸濁液を有機溶媒に分散させて有機溶媒可溶高分子マトリックスと混合し、新規なナノコンポジットを調製して弾性率および強度の増加について検討する。
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Research Products
(32 results)