2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750209
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川本 益揮 独立行政法人理化学研究所, 超分子科学研究室, 専任研究員 (70391927)
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Keywords | 光電変換 / 縮環系化合物 / カルバゾール / アモルファス固体 |
Research Abstract |
光電変換能を有するポリマーの開発を試みた。縮環系カルバゾール誘導体のジアミンモノマーを合成し,さらに酸二無水物と反応することでポリマー前駆体を得た。ポリマー前駆体は,N-メチルピロリドンに可溶であり,スピンコートによって容易に薄膜(膜厚:30nm)を作製することができた。ポリマー前駆体を塗布したガラス基板を窒素雰囲気下250度で加熱すると脱水反応がおこり,不溶性膜となった。赤外分光光度計を用いて反応の進行状況を確認したところ,脱水反応はおよそ2時間で終了することがわかった。また吸収スペクトル測定より薄膜は340nm付近にモノマーに由来する極大吸収波長を有し,500-800nmにブロードな吸収を示すことがあきらかとなった。 縮環系カルバゾールを有する低分子アモルファス化合物の開発に成功した。融点より化合物を降温すると加冷却状態となり,80-90度付近にガラス転移点を有することがわかった。化合物がガラス転移点を示したのは分子全体が非平面構造となったためであると考えた。次に化合物のクロロホルム溶液を調製し,スピンコートによる石英基板への製膜を試みたところ,容易にアモルファス薄膜を作製することができた。薄膜の光学物性を紫外可視分光光度計より評価したところ,340nm付近にカルバゾール誘導体に由来する極大吸収波長を示すことがわかった。以上の結果より,光電変換能が期待できる新規化合物の開発に成功し,製膜性ならびに基礎物性に関する知見を得ることができた。
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Research Products
(15 results)