2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22750209
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川本 益揮 独立行政法人理化学研究所, 光電変換研究チーム, 副チームリーダー (70391927)
|
Keywords | 光電変換 / 縮環系化合物 / カルバゾール / オルソゴナル構造 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,縮環系カルバゾールを含むイミド化合物の合成をおこなった。一分子内に縮環カルバゾール,ナフタレン,あるいはペリレン構造を有するドナー・アクセプターオルソゴナルダイアドの開発に成功した。得られたダイアドはイミド結合の立体配座によってアンチ・シン体が存在し,各々の異性体を分離することができた。また,立体配座はニトロベンゼン中で200度以上に加熱しても反転せず,構造的に安定であることがわかった。ダイアドの吸収はドナー,アクセプター単体を反映したものであり,連結に伴う電荷移動吸収を示さなかった。また,ドナー,アクセプター単体ではそれぞれ溶液中で強い蛍光を示すが,ダイアドはあらゆる吸収領域で励起しても発光しなかった。以上の結果より,ダイアドはオルソゴナル構造によって共役が切断され,吸収スペクトルがドナー,アクセプター部位の重ね合わせとなると考えた。また,蛍光を示さなかったのは光吸収によって生じた励起分子からの光誘起電荷移動,あるいは無輻射的に基底状態へ戻る等のパスを考えることができる。そこで,ダイアドのドナー部位を光励起したときの時間分解吸収スペクトルを測定したところ,アクセプター部位のラジカルアニオンに由来する吸収を確認した。さらにダイアドの電気化学特性を評価した。ダイアドは正・負電位側で可逆的な酸化還元反応を示すことから,両極電荷輸送特性を兼ね備えた有機半導体であることがわかった。
|
Research Products
(12 results)