2010 Fiscal Year Annual Research Report
III族窒化物両極性同時成長プロセスの開発とナノ構造デバイス作製
Project/Area Number |
22760006
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中野 貴之 静岡大学, 工学部, 助教 (00435827)
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Keywords | III族窒化物半導体 / 結晶成長 / 極性制御 / 有機金属気相エピタキシー法 / 両極性同時成長 |
Research Abstract |
III族窒化物半導体はウルツ鉱型結晶構造であるため、c軸方向に非対称で極性が存在する。(0001)面となる+c面と(000-1)面である-c面において化学的安定性や非線形光学定数などが変化している。このような特性を利用することにより、新規光機能デバイスの作製が可能となる。そこで本研究では、任意の領域において+c面と-c面を同時に成長かつ制御を行う選択領域極性制御成長手法の開発を行った。帯電防止膜を塗布した後に、電子線照射することにより感光させてカーボンマスクを形成し、選択領域の基板処理を行った。-c面を作製するための基板処理として重要なサファイア基板の窒化処理時間と窒化処理中におけるカーボンマスクの耐性を検討したところ、カーボンマスクが5nm程度の膜厚の場合には窒化処理が700℃で5分程度が最適であることがわかった。また、カーボンマスクの膜厚は帯電防止膜の塗布量と電子線照射時間によって制御可能であり3nm~10nmの膜厚が可能である。このようなマスクを用いることによってマスク領域においては窒化処理が施されず、水素クリーニングによってマスク除去された後には+c面成長を行うため、任意の領域への+c面および-c面の同時成長が可能となった。また、-c面成長領域については水酸化カリウム水溶液によるエッチングにより選択領域のエッチングが可能であることも確認できた。これにより、従来の一次元での構造制御だけでなく多次元的な構造制御が可能であることを示した。
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